「そんなことよdha epa

「そんなことよりも問題は! わたくしの可愛い弟子がその被害に遭って亜鉛 の サプリいること! そしてその魔薬の流出経路です!!」
 そのくだらないやdha epa dhaり取りを引き裂くように、燦然と輝く銀の髪を振り乱し、フレイヤは手を腰に当ててずいっとオルタンシアに詰め寄った。
 豊かな胸がずずいっと目の前の視界を圧迫アントシアニンする。
「う、うん、わかっていますよ、もちろん。フレイヤくん」
 その勢いと威圧と視線の向きによってはセクハラに当たらないかの心配で、額ににじんだ汗を拭き拭きオルタンシアは同意する。巷ではナイスミドルと評判の教皇も王国騎士団団長、否、怒れる美女にはかたなしだ。
「あー……、その流出経路についてだが」
 ガブリエルがそんな上司に助け舟を出すようにサプリメント マカ口を挟んだ。
「フレイヤも知っていると思うが、おそらく近頃噂の『黒い密売人』が本命だな」
「黒い密売人」
 思わずオウム返しにミモザは真似をする。なんだか意味がありそうでなさそうな名称だ。
 そんなミモザには構わず、ガブリエルは資料を取り出して机の上へと並べた。見ると王都の地図に赤い印がついているものや人相書きなどがある。そこに描かれている特徴は黒いローブに身を包んだ背が高く黒髪長髪の男とあり、なるほど黒という要素がふんだんに盛り込まれていた。
「この男の目撃情報は主に夕刻から深夜、裏路地や街の郊外などの人気のない場所が多いマカ。何回か接触を試みたがほぼすべて空振りでこれらの情報のほとんどは魔薬の購入者からの聴取によるものだ」
「接触できなかったのか?」
 訝しげなレオンハルトの問いにガブリエルは頷く。
「覆面警官による待ち伏せはすべて空振り。購入者の協力を得てその周辺で待機していてもその時に限って現れねぇ。囮捜査で若い女性警官をうろつかせてもまるで気配も現さねぇ。一応、一回だけ接触に成功したことはあったんだが……」
 そこでガブリエルはわずかに言い淀んだ。
「捜査員が独断専行で一人で行ったんだ。翌日、重症で発見された。もう少し発見が遅れていれば命はなかっただろう」
 ミモザは息を呑む。その捜査員の技量はわからないが素人ではないことは確かだ。それを相手サプリメント マカ取って重症を負わせるなど生半可な腕ではない。
「つまり、周囲で他の人間が見張っていると現れないということか」
「ああ、その通りだ。どうやって察知してるのかは知らねぇけどな」
 レオンハルトの言葉にガブリエルは頷いた。その表情は苦々しく悔しそうだ。
(もしかしたら重症を負った捜査員はガブリエル様と親しい仲だったのかも知れない)
 そう思わせるような態度だった。
「一応、わたくしも囮として過去に出没報告のあった場所に一人で立って見たんだけどね」
 フレイヤも険しい顔で言う。
「現れなかったわ。おそらくわたくしの顔を知っているんだと思う」
「用心深いことですね」
 オルタンシアは嘆息する。
 つまりその黒い密売人は見張りがいると現れず、見張りがいなくても騎士団の者だとわかる場合は現れないということだ。
「あと、情報としてはその被害にあった捜査員が言うには異常に自クロムの効能身の強さを誇示していたらしい」
「はぁ?」
 ガブリエルの提供した情報にフレイヤは不愉快げに声を上げた。
「散々逃げ回っておいて何よそれ。それならわたくしの前に姿を見せなさいよ!」
「どうどう、俺にキレたって仕方ねぇだろ」
 フレイヤの怒りに反応してか守護精霊のクワガタも威嚇してツノをガチガチと鳴らす。今にもガブリエルの首を絞めあげそうな勢いだ。彼はとんだとばっちりである。
「どうしましょうか」
 それを無視してレオンハルトはオルタンシアに問いかけた。
「そうですねぇ」
 思案するように彼は視線を動かし、ミモザに目をとめた。それは一見偶然ミモザを見たとも思える動きだったが、どうにも演技のようにも見える仕草でもあった。
 彼はにこりと穏やかに笑う。
「ミモザくん、君にお願いできますか?」
「……僕ですか?」
「オルタンシア様、それは……っ」
 否定しようとするレオンハルトを手で制し、彼は「彼女が適任です」と静かに告げる。
「ここまでの情報で、ミモザくんの双子のステラくんとやらが顧客なのは明らかです。そして今ここには彼女にそっくりなミモマカ と はザくんがいる」
 オルタンシアの肩におそらく彼の守護精霊であろう鮮やかな青色のイグアナがのそのそと姿を現した。彼は主人にそっくりなそのすみれ色の瞳でミモザをゆったりと見つめた。
「きっと黒い密売人はミモザくんのことをいつもの常連と間違えて姿を現すことでしょう」
「……っ、危険すぎます」
「彼女は君の弟子でしょう。弟子の技量を信じられないのですか?」
「それは……っ」
 どこまでも冷静な瞳にレオンハルトはそれ以上なにも言えずに押し黙った。それにオルタンシアは満足そうに頷くと、ミモザのことを再度見つめた。
「ミモザくん、引き受けていただけますか?」
 それは疑問の形を取ってはいるが、レオンハルトが反論を諦めた時点で確定事項のようなものだ。
「わかりました。お引き受けいたします」
 ミモザにはそれ以外の返事は許されなかった。

「ミモザ」
 教会からの帰路で、レオンハルトは雑貨屋によると何かを購入した。筒状で下から紐の飛び出したそれをミモザへと寄越す。
「なんですか? これ」
「信号弾だ」 
 首を傾げるミモザにレオンハルトは静かに告げる。
「いいか、ミモザ。取り逃がしてもいい、致命的になる前にすぐにこれを使いなさい。そうしたら俺は必ず駆けつける」
 ミモザはレオンハルトの顔と信号弾を交互に何度か見た末、それをありがアントシアニンの効果たく受け取った。
「これがあれば百人力ですね」
 わざと茶化すようにそう言うと、彼は少しむっと眉を寄せた後、諦めたように笑った。
「油断するなよ」
「はい!」
 ミモザは信号弾を両手で優しくぎゅっと握る。
 この事件はミモザ個人としてもなんとかして収めなければならなかった。
 無論、ステラに味方する人物をなるべく増やさないためである。
亜鉛 サプリ おすすめゴーヤクロム

 しかし突き飛ばさゴーヤ

 しかし突き飛亜鉛 サプリ おすすめばされた亜鉛場所が悪かった。彼は起きあがろうとして地面に手をつき、その手が地面に飲み込まれた。
「………っ!?」
 草に隠れてよく見えないが、そこは沼であった。この第4の塔はところど亜鉛ころにわかりにくい沼が広がっており、歩ける地面はちゃんと目で見ればわかるようにはなっているものの、よく注意していないと足を踏み外してしまう危険がある。野良精霊に襲われたり、転んだら最後、底なし沼から自力で這い出るのは困難である。
「捕まって!」
 ステラとマシューは駆け寄るとその手を掴んで引っ張り上げた。ずるり、と泥まみれの男の子が沼から引きずり出される。
「大丈夫亜鉛 の サプリか?」
 マシューが尋ねると堰を切ったように少年は大声を出して泣き出した。そのままぐずぐずと話し始める。
 いわく、今のは学校のクラスメイトであること、
 いわく、いじめられていること
 いわく、無理矢理連れてこられて突き飛ばされたこと
「……ひどい」
 ステラは表情を曇らせる。
「下手をしたら生死に関わるな」
 マシューも難しい顔でつぶやいた。
 ここは第4の塔である。野良精霊も出現する塔だ。
「……教会騎士の管理はどうなっているのかしら。こんな子を中に通すだなんて、万が一があったら…亜鉛の効果…。いじめも見抜けないだなんてやっぱり管理方法はもっと厳重にするべきだわ」
 ステラは憤然と言った。それにマシューは困ったように眉をさげる。
「いじめかどうかの判断は難しいよ。本人達が違うと言ったら、資格を満たしていた場合は塔に受け入れざるを得ない」
「でも塔は危険な場所なのよ? ここがあるせいでただのいじめが殺人になってしまうかも知れない! ちゃんと抗議しなきゃ!」
「ちょ、ちょっと!」
 そのまま出入り口を管理する騎士に突撃しようとするステラをマシューは慌てて腕を掴んで止めた。
「まずは男の子に怪我がないか確認させてくれ!」
 そう言ってマシューは男の子の全身を確認すると、小さな擦り傷を見つけてそこに手を当てた。
 クロムの効能柔らかい光がじんわりと灯って傷が早送りのように綺麗に塞がる。
「大丈夫かい? 他に怪我は?」
「だ、だいじょうぶ……」
「そうか、大変だったな」
 なんとか泣き止んだ泥まみれの少年をよしよしと自身が汚れるのも厭わずにマシューは撫でる。少年の目はその優しさに再びうるみ始める。
「あ、あー…、うちには帰れそうか? 送っていくか?」
「ひぐっ、か、帰れるぅ」
「じゃあ入り口まで一緒に行こうか」
 3人で時々少年の泥を落としてやりつつ出入り口へと近づくと、入場管理をしている騎士の中で若い騎士がその様子に気づいて走り寄ってきた。
「どうされました? 救助は必要ですか?」
「もう怪我は治したから問題ないよ、でも事件として報告をあげてもらいたい」
 事件、の言葉に彼は息を呑む。
 試練の塔の内部では原則利用者同士の揉め事は御法度である。事件というのは野良精霊や試練dhaによる負傷以外の人為的な被害を意味していた。
 マシューが詳しく報告をしようと口を開くと「そうなの!」と元気よくステラが先に言葉を放った。
「この子、学校のクラスメイトにいじめでここに連れてこられて沼に突き飛ばされたのよ! 今回はたまたまわたし達が見ていたから良かったけど、そうじゃなければ今ごろ命に関わってたかも知れない! どうしてこの子達のことを中へ通したの? 怪しいとは思わなかった?」
「どうしてって……、その、明確な理由がないと拒むことはできませんので……」
 若い騎士は戸惑うように言葉を濁す。それにステラはむっと眉を寄せた。
「貴方達は問題意識が低いわ。塔の管理が甘いせいでただのいじめが殺人事件になるところだったのよ。危険な塔の管理を任されているんだから、それなりの……」
「ステラ!」
 マシューが鋭く遮る。それに騎士はほっと息をついた。
「どうしたの? マシュー」
 ステラはそれに訝しげに返す。マシューは呆れたように首を横に振った。
「どうしたのじゃないよ、彼を責めるのは筋違いだ」
 その言葉にきょとんとして、少し考えた後にステラは頷いた。
「そうね、教会の管理体制の問題だも亜鉛 サプリ おすすめの。もっと上の立場の人に言うことよね」
「それはそうだけどそうじゃないよ」
 ふぅ、とマシューは疲れたようにため息をつく。
「例えばの話だけどさ、今回はいじめに塔が使われたけど、彼らがこの子を川に放り込むことだってあり得たとは思わないかい? 誰にでも近づくことのできる川の管理が甘いとその地域の役所を責めるのはちょっと無理があるだろう? 今回のもそれと同じだよ。悪いのはいじめというイレギュラーな行動をする連中で教会騎士にすべての問題の検出は不可能だ。そりゃあ
川に柵を立てたりはできるだろうけどそういう奴らは柵を乗り越えて同じことをするだろう。今回のは事故じゃなくて事件だからね。報告して改善策は練った方がいいだろうけどそんなに喧嘩腰で言うようなことじゃない」
「……っ、でも!」
「君が今回の件を真剣に考えてくれているのはわかるよ」
 マシューはなだめるように笑いかける。
「けど一つのことにこだわり過ぎて他の人の都合に盲目になるのはよくない。……まぁ、俺が言えたことじゃないんだけど」
「……ミモザみたいなことを言うのね」
 ステラの言葉に彼は「うっ」とうめいて胸を押さえた。
「ま、まぁ、受け売りなのは否定しないよ。あんな残酷に人のメンタルをえぐる奴にあんまり感謝はしたくないけど、まぁ、いdha epaっぺん精神的にぶん殴られたおかげで視野は広がったよね……」
 ああ、あの時の騎士団の人間はこういう気持ちだったのかなぁ、とマシューはうつろな目でステラにはよくわからないことをぶつぶつとつぶやく。
「どうして……」
 ステラはそんな彼を呆然と見つめた。頭の中で『何か』がおかしいと騒ぐ。
 おかしい。村ではみんなステラに同意してくれたのに。おかしい。ミモザの言うことばかり優先されるなんて。おかしい。アベルがステラのことを否定するなんて。おかしい。マシューがステラの言葉を受け入れないなんて。
 おかしい。
(前はこう言えば喜んでくれたじゃない)
 そこまで考えてステラははっと我にかえる。
(『前』ってなに?)
 頭がずきずきと痛む。マシューとはこれが初対面のはずだ。
「ステラ?」
 頭を押さえて黙り込むステラに、マシューは不審げに声をかけた。
「頭が痛むのか? どこかにぶつけた?」
「……いいえ、なんでもないの」
 ステラはにっこりと笑う。本当はなんでもなくなんてない。ステラは傷ついている。マシューが裏切ったからだ。
(裏切るってなに?)
「ちょっとめまいがしただけなの。この後に用事があったのを思い出したわ。あとは任せてもいいかしら?」
「え? あ、ああ、大丈夫だよ。お大事に」
 ステラは少年とマシューに微笑みかけ、ついでに若い騎士を見た。彼はその視線に嫌そうに身をすくめる。
(わたしが悪いみたいな顔をしないでよ)
 不愉快な気持ちがステラの中で渦巻く。けれどそれ以クロムの効能上は何も言わずに立ち去ることをステラは選択した。
 これ以上今のマシューと言葉を交わしたくはなかった。
亜鉛 サプリ おすすめクロムゴーヤ

 チロを構える。ゴーヤ

 チロを構える。そのまま大きく振りかぶると、目の前にいる敵へと向かってー……、
亜鉛(クロムの効能違う……っ!!)
 直前でミモザは理性を取り戻した。しかし振りかぶった手の制御がきかない。目の前の景色がチカチカと赤と白に明滅を繰り返す。
「……っ、お亜鉛 の サプリ前は僕のものだろうが……っ!!」
 あまりの怒りにミモザは怒鳴っていた。その瞬間、身体のコントロールがミモザの手の内へと戻る。
「うんん……っ!」
 唸る。モーニングスターメイスの無数にある棘のうちの一つが振った勢いに合わせて槍のように伸び標的を突き刺そうとするのをーー、
 直前でその軌道を無理やりずらした。
「……っ」
 息を呑む。棘はレオンハルトの脇に生ゴーヤえる木を貫いた。
 それにレオンハルトはわずかに眉をひそめただけだった。おそらく直前で軌道が変わり、自身に当たらないことを悟ったのだろう。微動だにせず、けれど油断なく剣を構えて立っていた。その身体からは適度に力が抜けており、どこに攻撃を仕掛けてもすぐに対応されてしまうであろうことが素人のミモザでもわかった。
 その場に沈黙が落ち、膠着状態に陥る。
 ふっふっ、と荒い息を漏らしながら、ミモザは身体を支配しようとしていた狂気が引いていくのを感じていた。
「君はーー、」
 レオンハルトの声にびくりっ、と身をすくゴーヤませる。
「ち、違うんですっ、いや、違わないんですけどっ、違くてっ、あの、襲うつもりなんてこれっぽっちも……っ」
そこまで半泣きで言ってから、棘がまだ木に突き刺さったままなことに気づき慌ててそれを戻す。
「あのっ、ごめんなさいっ!!」
 そのまま敵意がないことを示すために頭を深々と下げた。
 顔を上げられない。
(どうしよう……!)
 涙が溢れた。
(怖い)
 アベルなど比較にもならない。そこには圧倒的な強者がいた。
 その気になればミモザのことなど赤子の首をひねるように殺すことができるのだと、本能でわかる。
(いや、おそらく殺されはしない)
 心の中で必死に言い聞かせる。殺されはしない。相手は聖騎士である。殺人鬼ではない。
 けれど捕まってはしまうだろう。または処置としてチロを取り上げdhaられてしまうかも知れない。
 守護精霊との接続を切り離すことは原則禁止だが、狂化個体に関しては適切な処置として行われることがあった。
「ふむ、自力で抑え込んだか」
 その声音には面白がるような感心するような響きがあった。彼はそのままミモザの近くに散らばる野良精霊の遺体を見て目を細める。
「いい腕だ。教会に引き渡すのは惜しいな」
 その言葉に思わずミモザは顔を弾かれたように上げる。
 その顔は恐怖と涙でぐちゃぐちゃだ。
 彼は悠然とミモザを見返すと、顎に手を当て思案するように首を傾げた。
「君、一生その狂気と付き合う気はあるかい?抑え続ける自信は?」
 にっこりと微笑んで、彼はまるで明日の天気でも尋ねるような調子でそう問いかけた。
 その笑顔はとても爽やかで整っているのに、ミモザには何故か悪魔の微笑みに見える。
 しかしこの悪魔に気に入られなければ未来がないことだけは理解できた。
「あります!」
 食い入るように答える。
「……素直に教会で『処置』を受けた方が楽だぞ。マカ サプリ一生自らの業に振り回されて苦しみ続けることになる」
「それでも……」
 ぐっ、と唇を噛み締める。
「それでもいいです。自分のこの、感情を手放すくらいなら」
 きっとチロを手放せばそれと引き換えにミモザはこの憎しみも妬みも投げ出せる。
 しかしそうした時のミモザは果たしてこれがミモザ自身であると自信を持って言えるだろうか。
 チロはミモザ自身だ。ならばチロを失ったミモザはもう元のミモザではないだろう。
 嫉妬も報復も、元々愚かな選択なのは重々承知だ。
「いいだろう」
 レオンハルトは満足げに頷いた。
「見逃してやる。君は自由だ」
 その言葉を聞いた途端、ミモザの体から一気に力が抜けた。しかし疑問は残る。
「……なぜ、」
「わからないか?君にならわかるはずだ」
「……?」
 そう言われてよくよく目を凝らす。レオンハルトは何も隠すことはないというように剣を翼獅子の姿へ戻すと両手を広げてみせた。
 その姿はどこからどう見ても愛想の良いただの美形だ。
 立っているだけできらきらしい。
 けれどミモザは歪みにも似た違和感を覚えた。
「あなたは、」
「うん?」
「あなたも、狂気に囚われているのゴーヤですか?」
 肯定するように彼はにやり、と笑った。金色の目が肉食獣のような獰猛さで輝く。
 そしておもむろに右目を覆う前髪を手でかきあげた。
「……あ」
 そこには右目全体を潰すように火傷のような傷跡があった。まつ毛もないその右目の瞼がゆっくりと開かれる。
 ぎらぎらと輝く紅の瞳が真っ直ぐにこちらを射抜いた。
 慌てて翼獅子を確認する。しかし彼のオーラはまばゆいばかりの白色で、特に黒い塵のようなものは混ざっていない。
 しかしそれなのに何故かわかる。目の前の彼が自分と同類なのだと。
 そこにはシンパシーのような運命共同体に出会ったかのような何かが確かに存在していた。
「これをやろう」
 差し出されたのは彼の髪を結っていたリボンだ。黒色のビロードで出来たそれは黄色く透き通った石と、それを守るように描かれた黄金の翼獅子の刺繍がされたいかにも高価そうなものだった。それを外した途端に彼の翼獅子からは黒い塵が濃密に噴き出し、その瞳が赤く染まる。
 ミモザはその光景に目を見張った。
 彼は苦笑する。
「これについている宝石は実は魔導具の一種でね。幻術を見せる効果がある。大したものは見せられないが狂化の兆候を誤魔化すくらいの効果はある」
 ミモザは戸惑い、逡巡した。正直に言えば喉から手が出るほど欲しい。これがあれば今後のポリ ペプチド憂いが大きく減るのは間違いなかった。けれど、
「でもこれがないと貴方が……」
「ああ、俺は家に帰れば予備がもう一つあるからいいんだ。それよりもこれがないと君はすぐにでも捕まってしまうよ」
 どうにも詐欺にも似た怖さを感じる。
 しかし悩みながらも結局ミモザはおずおずと手を伸ばしてそれを受け取った。
 その様子にレオンハルトは目を細めて微笑む。
「いいこだ。これがあれば同じように狂化した相手以外は騙せるだろう。狂化した者同士はなんとなく感じ取れてしまうのだよ。困ったことにね」
「……どうしてこんなによくしてくださるのですか」
「君には才能がある」
 間髪入れずに言われた言葉にミモザは目を見開いた。
「君は精霊との親和性が高いな。それは精霊騎士を目指す上ではとても素晴らしい才能だ。そしてその上で狂気に引きずられない意志の強さがある。正直感情のままに狂気に飲まれるようなら教会に引き渡すつもりだったよ。けれどコントロールできているなら誰に迷惑をかけるわけでもない。わざわざ取り締まる必要性を感じないな」
「………」
 その言葉を聞きながらもミモザの疑心暗鬼は収まらなかった。それをレオンハルトも察したのだろう。「そう警戒してくれるな」と苦笑する。
「……まぁ、共犯者の優遇だよ。俺も人間だからな。判断基準はわりと不公平なんだ」
 そう告げると彼はミモザを安心させるようにおどけた仕草でウインクをしてみせた。
「では、俺はこれで失礼するよ。せいぜいバレないように気をつけるんだな、検討を祈る」
 パッと手を上げてクロム颯爽と身を翻す姿は潔く、どこまでも爽やかだ。
 しかしその身と守護精霊から噴き出す濃密な闇の気配がそれを裏切って禍々しい。
「え、えっと……」
 ミモザは焦る。
 彼は恐ろしい。自分の命を簡単に脅かすことのできる存在への恐怖は拭えない。ーーけれど、
「待ってください!!」
 気づけばミモザは彼を引き止めていた。彼は怪訝そうな顔をして振り返る。
(……う、)
 ミモザなど比較にならないほどの濃密な黒い塵の濃度と威圧感に身がすくむ。
「あ、あの……」
 ごくり、と唾を飲む。恐ろしい。恐ろしいがこれを逃したら、きっとミモザに次のチャンスはない。
「ぼ、僕を貴方の弟子にしてくだひゃいっ!」
 ミモザは盛大に噛んだ。
ゴーヤdha epa dhaゴーヤ チャンプルーdha epa dha

 それは修行後のお亜鉛 サプリ おすすめ

 それは修行後のお茶の時間が常習亜鉛 の サプリ化し、ミモザがレゴーヤオンハルトのことを愛称で呼ぶことが許されるようになった頃に起こった。
「あ、」
「どうした?」
 問いかけるレオンハルトにミモザは困った顔をする。
「ランチボックスを忘亜鉛れてきました」
 時刻はちょうどお昼時である。昼食の時間をまたぐことがあらかじめわかっていたため用意していたのに、その肝心のランチボックスを丸ごと家に置いてきてしまったのだ。
「仕方がないな。今日は適当にどこかで買うか、外食でもするか」
 頭を掻きながらレオンハルトは提案する。以前の彼ならここは「なら帰るか」となりそうな流れだが、習慣を変えたくない性質なのか、それともミモザとのお茶会アントシアニンの効果もとい食事会にそれなりに意味を見出しているのか判断に悩むところだ。
「いいですよ、すぐに取ってきます。せっかく作ったのにもったいないですし、それに……」
「それに?」
 ミモザは気まずそうに目をそらした。
「この村、田舎なので外食する店ないです」
 悲しい事実だった。しかしレオンハルトは気に留めた風もなく「王都に行けばいいだろう」などと軽く言う。
「いや、遠いじゃないですか」
「レーヴェに乗っていけば1時間てところだな」
「え?」
 思わず驚いてレーヴェを見る。彼は自慢げに胸をそらし、翼を亜鉛 サプリ広げてみせた。
「近くないですか?確か半日ほどかかると思っていたのですが」
「それは街道を通った場合だな」
「……そんなに差がでるんですか?」
「まずこの村から主要な街道に出るまでに10時間ほどかかる」
「………」
「そこから街道を4時間と言ったところか」
「なんでそんなに街道まで遠いんですか」
「この村に何も特産品も需要もないからだな」
 そのレオンハルトの返答にミモザはうっ、と言葉に詰まる。
「世知辛い話ですね」
 結局それしか言葉を絞り出せなかった。
「まぁ、街道一本通すのに莫大な資金と人手がいるからな。必要のない村を通すより王都に有益な場所を経由するように道を作るのは当然だろう」
「世知辛い話ですねぇ」
 そして無情だ。
 どこの世界でも需要の少ない田舎は冷遇されがちらしい。
「まぁ、でもdha取ってきますよ。僕の家まで1時間かからないので」
 立ち上がりかけたレオンハルトを制してミモザは「すぐ戻るので待っていてください」とお願いした。
 母や姉とレオンハルトが鉢合わせると厄介だからである。 

「はぁっはぁっはぁっ」
 ミモザは息を切らして走っていた。手には先ほど家から持ってきたランチボックスを抱えている。そのせいでいつもよりも走る速度は落ちていた。
「おい、待てよ!ミモザ!!」
 背後から石が飛んできてミモザの頭に当たる。大した大きさではないが、勢いがあり普通に痛い。
 バタバタと4人分の足音がずっと背後をついてきている。
「てめぇ!ふざけんなよ!逃げるな!!」
 いきりたって怒鳴っているのは当然、アベルであった。

 家にランチボックスを取りに行くところまでは良かった。母はまだ帰っていないのかミモザが用意した母親の分のサンドイッチはまだ冷蔵庫の中に残されていた。ミモザはその隣に置かれたランクロムの効能チボックスを持って外へと出た。
 そして出会ってしまったのである。
 下校途中のアベルとその取り巻き3人に。
(迂闊だった)
 ミモザは不登校になってから徹底的に姉やアベル達と生活サイクルを変えて生活している。
 学校の授業が始まる時間に起き出し、授業中に外出を済まし、下校以降は家の外には出ない。
 すべてはこの狭い村でアベル達にうっかり鉢合わせないためである。
 しかし失念していたのだ。
 もうすぐ秋休みだったということを。
 秋は実りの季節である。そしてこのような田舎の村では子どもも立派な戦力だ。そのため小麦や稲を植える時期と収穫の時期は学校は長期休みに入る。手伝いをするためだ。そして秋休みに入る前日は午前授業となる。
 今日がその午前授業の日だった。
 そしてミモザは追いかけられる羽目になったのだ。
ゴーヤ チャンプルーゴーヤdha

 さて、昨日にマカ サプリ

 さて、昨日に引ポリ ペプチドき続きミモザは塔の攻略にポリ ペプチド来ていた。第3の塔くらいまでは塔の中に野良精霊も出現せずレベルが低くても比較的さくさく攻略できるため、皆あまり間を開けずに攻略するのが主流である。ミモザもそれに倣うことにした。
 次のターゲットであるゴーヤ チャンプルー第2の塔は暗視ができるようになる祝福の塔である。この塔でやることは第1の塔とあまり変わらず、鍵を探すのは一緒である。しかし暗闇の中で、である。自分の指先も見えないような暗闇を進み、その最中で鍵を見つけるという試練だ。当然この鍵にも金銀銅のランクが存在するが、今回は視認して選ぶことなどできないため、暗闇の中でどれだけたくさんの鍵を見つけられるかが勝負となる。
 かくして、ミアントシアニンの効果モザは今、
(気まずすぎる……)
 何故かステラとアベルと共に塔の入り口で入場確認を受けていた。
 理由は簡単だ。塔の前で偶然鉢合わせてしまったのである。

 先に来て入場の列に並んでいたのはミモザであった。そこに後から2人が来て、知らないふりをしてくれるかと思ったら「あら、ミモザ」とステラが声をかけてきたのだ。
(帰りてぇ……)
「ねぇミモザ、聞いてる?」
 それから延々とステラに話しかけられ続けているミモザである。その態度に段々と昨日あったと思っていた出来事はもしかしたら夢だったのだろうかと疑い始めていた。
 まぁさっきからチロがイライラとミモザの肩で地団駄を踏んでいるのでおポリ ペプチドそらく現実にあったのだろうが。
「お姉ちゃんって気まずいって感情知ってる?」
「……? もちろん、知ってるわよ?」
 なら話しかけてくんなよ、とは言えない小心者のミモザである。
 ちろり、とその隣でやはり気まずそうに貧乏ゆすりをしているアベルを見る。彼と目が合った。
「………やめさせたから」
「は?」
 アベルはちっ、と舌打ちを一つすると、周囲をはばかるように小声で告げた。
「昨日の。野良精霊狩りだよ」
「……ああ」
 そうですか、とミモザは頷く。もはやミモザには関係のない話だ。
(でもそっか、辞めさせられたのか)
 それは素直に賞賛に値する。ミモザが諦めてしまったことを、アベルはやり遂げたのか。
 だからと言ってアベルのことを許すつもりは毛頭ないが、憂いが一つなくなったことは確かである。
「ついでにここから連れ出すか僕に話しかけないdhaようにしてくれない?」
「それはまぁ、俺には荷が重い」
 ミモザはちっと舌打ちをした。
 いまいち使えない男である。

 無事に入場許可をもらい塔の中に入る。とたんにミモザの体は一寸先も見通せないような暗闇へと呑み込まれた。
 試しに手を伸ばして目の前にかざして見るが、その輪郭はおろか、動かしてみても存在すら感じられない。
 手をそろりそろりと横へと伸ばす。何かごつごつとした岩肌のようなものにその手は触れた。どうやら壁らしい。
 背後で扉の開く音がし、一瞬光が差し込んだ。だがその眩しさに目が眩んでいる間に再び闇に包まれる。
 後ろに並んでいた人物、おそらくステラかアベルが入ってきたのだろう。ミモザは2人に追いつかれないように慌てて壁伝いに前へと歩き出した。
 誰かの足音がまばらに聞こえる。息づかいやひそめられた悲鳴も。誰かが近くで転んだ音がした。人の存在を感じるのに何も見えないというのはとても不気味な状態だ。
 その時ミモザの左側を誰かが通り過ぎた。足音の遠ざかっていく方向とその素早い歩行からして試練を終えて帰っていく人かも知れない。祝亜鉛 の サプリ福により暗視の能力を手に入れたのだろう。
(鍵を探さなきゃ)
 暗闇の中進むことに夢中になって、すっかり忘れるところだった。
 しかし探すといってもこれでは進むだけで精一杯だ。ふと思いついて足をずりずりとするように動かす。その時こつん、と何かが当たった。屈んでそれに触る。
(ただの石ころか)
 そのまましばらく手で地面を弄っていると思いっきり誰かに手を踏まれた。
「いった!」
「おっと、すまねぇ」
 見知らぬ誰かはそれだけ言うとまた歩き始めたようだ。徐々にその足音は遠ざかっていく。
 屈んでいるのは危険だと判断してミモザは地面を探すことを諦めて立ち上がる。先ほどまでたどっていた壁に再び手をつくと、その壁を手当たり次第に撫で回した。
(……お?)
 しばらくするとくぼみのようなものに触れた。その中に手を突っ込む。何か硬くて小さな物がある。それを握って引っ張り出して見るが、まぁ、見えない。
(そりゃそうだ)
 とりあえずすべすべとした冷たい手触りは金属っぽい。形も鍵の形をしている気がする。判別は諦めてとりあえずミモザはその鍵らしきものを持ってきていた巾着袋の中へと放り込んだ。
(これは長丁場になるなぁ……)
 どこまで進めばゴールなのかもわからない。ゴーヤ チャンプルーしかもミモザの記憶が正しければこの塔の内部は基本一本道ではあるものの、ちょこちょこすぐ行き止まりになる分かれ道があったはずだ。
(まぁ、いい)
 なにせミモザは誰もがすぐに攻略する第1の塔におよそ7時間も居座ったという華々しい実績の持ち主である。長期戦はいろいろな意味で得意だ。
「がんばるぞー、おー」
「チー」
 小さな声でチロと一緒に気合いを入れるとミモザはまたそろりそろりと歩き出した。

 扉が開く。
「ううっ」
 眩しさにミモザはうめく。どうやら最上階にやっとたどり着いたらしい。
 その部屋にはミモザと同じように暗闇を歩いてきた人達が複数人立っていた。鍵を挿す扉の前には行列ができている。
 どうやら第一の塔はすぐに終わってしまう試練のため塔の中にいる人もまばらだったが、暗闇を進むという時間のかかる試練ゆえに渋滞が発生しているらしい。暗闇の中でも確かに見えはしないがたくさんの人間の気配を感じていた。
「さてさて」
 ミモザは手に握っていた袋を見る。小さな巾着袋はぱんぱんに膨らんでいる。
 豊作である。
(なかなかに頑張ったんじゃなかろうか)
 人が多かったためあまり一ヶ所に長居は出来なかったが、そのわりにはなかなかの数の鍵を見つけられた。
(もしかして金の鍵もあったりして)
 宝くじの当選番号を確認する気分でにまにまと笑いながらミモザは袋を開けて中を見た。
 閉じた。
 もう一度中を見た。
 銅の鍵しか入っていなかった。
「…マカ と は…………」
 ミモザは無言でのろのろと歩くと広い部屋の隅の方へと移動してそこに座り込んだ。
「いいんだ、わかってたから。僕なんてどーせ、どーせ」
 そのまま体育座りになり地面にのの字を書く。
「えーと、大丈夫か?」
 その時聞いたことのある声が話しかけてきた。その不愉快な声にミモザはきっ、と睨みを効かせる。
「他の誰に言われてもいいけどお前からだけはそんなセリフは言われたくないっ!!」
 声の主はアベルだった。彼は手に銀の鍵を握っている。
「わ、わりぃ」
「謝るなぁ!余計惨めになる!うわーん!!」
「あらら、ミモザ、可哀想に。だめよ、無理をしちゃ」
 そう言って歩み寄ってきたステラの手には金の鍵が握られていた。
 ミモザはさらに泣いた。
 ステラはミモザの握る袋を引っ張って中を確認する。その中身が銅の鍵しかないことを見て取ると少し笑った。その後思案するように指を口元にあてる。
「でも困ったわねぇ、銅の鍵じゃあ暗闇の中あの道を戻るのは大変だわ。そうだ、手を繋いであげる。私たちと一緒に帰ろう?」
 そう言ってにっこりと差し出された手を
「や、やだ」
 ミモザは拒絶した。
 頼むから放っておいて欲しかった。
マカ と はdha epa亜鉛 の サプリマカ サプリ

「じゃあ、そろそろマカ

「じゃあ、そろそろ塔の最上階へと行きましょうか……」
 なんとか立ち直ったジーンは力無亜鉛くそう言った。まだその顔色は青白い。
「ジーン様はもクロムう鍵を見つけられたのですか?」
「え?ええ、先ほど拾いました」
 そう言って彼は、銀の鍵を取り出してみせた。
「……………」
「まぁさすがに金は見つかりませんよ。でも思ったよりすぐにマカ と は見つかって良かったです」
「すぐに」
「ええ、入り口の近くに落ちてまして……」
 にこにこと悪気なく笑うジーン。ミモザは無言で自分のハンカチを取り出すとそこに包んでいた大量の銅の鍵をザーっと地面へとばら撒いた。
「えっ、ミモザさん、随分と大量に……」
 言いかけて気づいたのか彼はそこで言葉を止めた。
「えっと」
「すぐに見つかったんですか」
「え、えーと、どうだったかな」
「入り口の近くで」亜鉛 サプリ おすすめ
「もしかしたら結構込み入ったところにあったかも」
 誤魔化すジーンに、ミモザはにこりと笑いかけた。
「ジーン様、いつ塔にいらしたんですか?」
「えっと、10分、いや15分前かな」
「そうですか、僕は朝の5時頃からいます」
「…………」
「今、何時でしたっけね……」
「え、えーと」
 気まずそうにジーンは言った。
「そろそろ昼食時ですね……」
「ふっ」
 ふっふっふっ、とミモザは笑う。声は笑っているがその表情は半泣きだ。
「ミモザさん……」
 痛ましいものを見る目でジーンはそっと、ミモザの背中に亜鉛 の サプリ手を添えた。
「大丈夫です。現実をしっかり受け止めましょう。怖くないですよ」
「うわーん!!」
 ミモザは再び地に伏した。ジーンは先ほどのミモザのように無言でその背中を慰めるように撫でた。

「行きましょうか……」
「はい……」
 2人してしょんぼりと肩を落として歩く。階段を登ってすぐにその扉はあった。
 鍵をさす。回す。
 かちゃり、と小さな音を立ててその扉は開いた。本来なら初めての塔の攻略に感慨深くなるのかもしれないイベントを2人は無感情に淡々とこなした。
 感動するには2人とも心が疲弊しすぎていた。
 扉の向こうには暗闇が広がり、そこには一つだけ光が浮かんでいた。それはゆっくりとこちらへ近づくと右手の甲へと吸い込まれるように消えた。そこマカには花のような紋様が現れ、その花弁の内の一枚が銅色に染まった。それ以外の残り6枚の花弁は肌色のままである。
「塔の攻略の証ですね」
 そう言うジーンの手の甲には銀色の花弁が輝いていた。
 それを見てミモザはちっ、と舌打ちをする。
(そうだ、試しに……)
 第一の塔で得られる祝福、『観察』を使用してみる。使うことを意識してジーンのことを見てみると、そこにはゲーム画面で見るような表示が現れた。
『Lv強い MP多い HPまぁまぁ』
「………クソゲーめ」
 ミモザ、ハードモード確定の瞬間であった。

「では、僕はこれで」
 塔から出たところでジーンはそう言って小さく手を振って見せた。
「王都はこっちですよ?」
 来た道を指差して見せるがジーンは首を横に振る。
「先生に念のため塔の周辺を見て回るように言われているんです。野良精霊の異常が塔の周辺で起きると大変ですからね」
 ジーンは明言しなかっ亜鉛 サプリたがおそらくその『大変』の中には塔の試練を受けに来て被害者が出ると被害者遺族の会との関係がまた悪化しかねないことも含まれているのだろう。
 そういうことならとミモザも同行しようか迷ったが、ステラと鉢合わせしてしまう危険性を考えるとそれははばかられて結局見送ることにした。
 ただでさえ銀の鍵が見つからなかったせいで予定が押しているのだ。当初の予定通りにいっていればとっくに帰っている時間である。
 ジーンが塔の奥にある森へ立ち去っていくのを見送って、ミモザもさて帰るかと振り返ろうとしたところで、
「あら、ミモザ?」
 嫌な声がした。見たくはなかったが見ないわけにもいかないのでゆっくりと振り返る。
 風に靡くハニーブロンドの髪、星を孕んだサファイアの瞳、透き通った肌に淡いピンクの艶やかな唇。
 にこりと笑って、彼女は言った。
「奇遇ねぇ、こんなところで会うなんて」
「お姉ちゃん……」
 そばにはアベルを伴って、ステラがそこには立っていた。
「あら?」
 何かに気づいたようにステラは目を見張り、そしてそれを見サプリメント マカてふふっ、と嬉しそうに笑う。
「ミモザ、もう塔に行ったのね」
 ミモザの右手を見たのだろう。そこにある紋様は塔を攻略した証だ。
「銅だったの?残念だったわね。でも大丈夫よ、ミモザ」
 彼女は微笑んで、慰めるように続ける。
「次の塔ではきっと銀が取れるわ」
「……うん。そうだといいね」
 ゲームではミモザは銅しか取れない定めであった。次も銅の可能性が高い。
 対してステラはあえてハードモードを選択しなければ銀以上は確実だろう。
(不公平だなぁ)
 はぁ、とため息をつく。
 卒業試合以降ステラときちんと顔を合わせたのはこれで2回目だ。1回目は試合後の夕食だ。その時はさすがにステラも無言で非常に気まずかったが、今の様子を見るにどうやら立ち直ったらしい。
 まぁたった一度の負けでへこたれる人間ではないだろうとは思っていたが、それにしてもご機嫌である。
「……何かいいことあったの?」
「わかる?」
 うふふ、とステラは笑うと「ジャーン」と可愛らしいお花柄の巾着袋を取り出して見せた。
「これなーんだ!」
 そう言いながら巾着袋を開けてその中身を手のひらに広げて見せた。
 じゃらじゃらと流れ出てきたそれは大量の魔導石であった。
亜鉛ポリ ペプチドゴーヤマカ

 ガチャン、という亜鉛 サプリ おすすめ

 ガチャン、という音を立ててその扉は閉まった。
「あ、あなたが悪いんだからね!」
 捨クロムて台詞と同時にパタdha epa dhaパタと遠ざかっていく足音がする。どうやら彼女は立ち去ってしまったようだ。
「うーん」
 閉じ込められた……のだろうか?ミモザは首をひねった。
 まず扉を押してみると何かつっかえがしてあるのdha epaか開かない。だがメイスで叩けば壊すことは可能だろう。次にミモザは月明かりの差し込む窓へと近づいた。
「開くんだよなぁ、これが」
 カシャ、と軽い音を立てて窓が開く。窓の外は庭園で、別にとんでもなく高くて外に出れないというわけではない。
 さて、閉じ込めるとはなんぞや?と疑問に思う。
「窓から外に出るという発想がお嬢様にはないのかなポリ ペプチド……」
「チゥー…」
 チロも同意するように頷く。あまりにも詰めの甘すぎる監禁だった。
 もしもミモザを本気で閉じ込めようと思ったら、まずはチロを拘束しなくてはならないし、ついでにミモザのことも手足を縛るくらいはしなくてはならないだろう。そうでなくては普通に破壊して出てきてしまう。
「まぁ、今回は壊さないけど」
 一体弁償代がいくらかかることか。想像すると寒気がしてミモザはぶるりと身を震わせた。
 さて、それでは外に出ようかと窓枠に手をかけたところで、
「……ん?」
 人の気配に思わず隠れる。隠れてから別に隠亜鉛 の サプリれる必要がなかったことに気がついたが後の祭りである。
 かくして近づいてきたのはオルタンシア教皇とオーティス宰相であった。
「………薬は、……で、」
「しかし……の、効果……」
(薬……?)
 2人はぼそぼそと小声で話しながらゆっくりとミモザの隠れている窓の前を通り過ぎ、遠ざかって行った。前を通り過ぎるといっても距離があったため、その内容はあまり聞き取れない。
(仲が良いんだろうか?)
 考えながらもまさかな、と思い直す。宰相などは貴族の筆頭であろうし、教皇はいわずもがな平民の代表である。派閥的に仲睦まじく、というのは難しい立場だろう。だからこそこうして密会のようにこっそり会っている可能性もなくはないが、それよりは仕事の話をしているというほうがしっくりくる。
 さて気亜鉛 サプリ おすすめを取り直して、とミモザは窓枠に手と足をかけるとそのまま外へとぴょんっと身軽に飛び降りた。
 ぴ、と体操選手のようにポーズを決める。
「10点!」
「何が10点なのかしら?」
 その言葉に振り返る。そこには、
「フレイヤ様!」
 が立っていた。彼女は赤いドレスに黒いショールを羽織っていた。銀色の髪は綺麗に結い上げられて真珠の髪飾りで彩られている。月明かりに照らされたその体は、銀色の粒子をまといきらきらとほのかに輝いていた。
 ミモザはその姿にうっ、とうめく。
 彼女の抜群のプロポーションが眩しい。
「どうしたのかしら?」
「ちょっと世の理不尽に目が眩んでしまって……」
「ちょっと意味はわからないけど大丈夫そうなのは伝わったわ」
 体調が悪いのかと心配したじゃない、と彼女は嘆息する。
「あなた、今1人?」
「はい。フレイヤ様もですか?」
「ええ、ちょっと夜風にあたりたくて……」
 そう言いつつ彼女の目は何かを探すように彷徨っている。
(なんだ……?)
 パッ亜鉛 サプリ おすすめと見た印象だが彼女の装飾はどこかが欠けているという様子もなく彷徨う目線の高さ的にも地面を探している様子はない。何かを落としたとかでは無さそうだ。
「ジーン様はご一緒ではないのですか?」
「ああ、ジーンは今日はご家族もいらしてるからそっちと一緒にいるのよ」
「なるほど」
 ジーンの素性はよく知らないが、王国騎士団長の弟子になるくらいだ。やんごとない家柄なのだろう。
「じゃあ、わたくしはそろそろ行くわね」
「はぁ……」
 声をかけておきながら随分とつれないことだ、と思いながらその後ろ姿を見送る。
「………ついてってみる?」
「チゥ」
 ついていこう、とチロが頷く。フレイヤはミモザに連れがいないのかを尋ねて、いないことを知ると明らかに興味を失ったようだった。つまり誰かと一緒に来たのではないかと疑ってミモザに声をかけたのだ。
(でも誰だろ?)
 探し人がレオンハルトならば、たぶん普通にミモザにレオンハルトはどこにいるのかと尋ねただろう。しかしそれをしないということはミモザには居場所がわからないであろう相手、その上ワンチャンミモザと一緒にいてもおかしくない相手を探しているということだ。
(鬼が出るか蛇がゴーヤ チャンプルー出るか)
 庭園の生垣で作られた迷路の中へと姿を消したフレイヤを、ゆっくりと追跡する。ミモザが追うのでは気づかれる可能性が高いためチロを斥候に使い絶妙にお互いの姿が見えない距離を保ちながら進む。
(おっと)
 これ出れるかなぁ、と不安になりつつ歩いていると、唐突にフレイヤが立ち止まった。彼女はぼんやりと立ち尽くし、迷路の先を眺めているようだ。
 手で合図をしてチロに様子を見てきてもらう。しばらく待つとチロは走って戻ってきて、そこで見た光景を伝えてくれた。
 迷路の先にはガブリエルがいたのだ。それも、先ほどホールでミモザを睨んでいたもう1人の令嬢、セレーナ嬢と一緒だったようだ。
(なんでその2人が?)
 教皇と宰相に引き続き謎のペアである。首をひねるミモザの目の前で、フレイヤはその2人のことを憎々しげに睨んでいた。

「フラフラついて行くなと言っただろうが」
 ホールに戻るとレオンハルトが仁王立ちでミモザを見下ろしてそう言った。
 その顔は険しい。
「えっと、レオン様、違うんです」
「何が違う」
「筋肉にも胸にもつられてません」
「じゃあ何に釣られた」
「こ、好奇心……?」
 はぁ、と彼は深い深いため息をつく。
「俺はとても簡単な指示を出したと思っていたが、その認識は誤りだったか?」
「ええと、レオン様と結婚したがっている令嬢の方がですね」
「……どっちだ」
「ピンクブロンドの亜鉛 の サプリほうです」
「アイリーンか」
 ちっ、と小さくレオンハルトは舌打ちをする。ミモザは頷いた。
「ええ、そちらの方に、ちょっと監禁されてきました」
 ミモザが続けて言ったセリフに、レオンハルトはなんか変な言葉を聞いたというようにその顔をすがめる。
「……出れたのか」
「窓が普通に開いたので」
「…………。万が一ということもある。そういう場合は知り合いに声をかけるなりして軽率について行くのは控えなさい」
 さすがに彼も少し呆れた様子だ。閉じ込めた部屋の鍵がかかっていないなど、監禁というにはあまりにお粗末である。
「はい、申し訳ありませんでした」
 とりあえずレオンハルトの態度が軟化してきたのでミモザは言い訳をやめて素直に謝罪した。
「……帰るぞ」
「よろしいのですか?」
 身を翻すレオンハルトに追従しながらもホールを見渡す。パーティーはまだ終わる気配を見せてはいない。
「ああ、君がいない間に一通りの挨拶は済ませた。問題ない」
「……申し訳ありませんでした」
 ミモザはもう一度丁寧に謝罪をした。
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 朝、ステラdha

 朝、ステラが陽の光に目を覚ますと小鳥アントシアニンが囀っていた。隣で寝ていたティアラが気づゴーヤき、その鳥へと飛び掛かる。
「おはよう、ティアラ」
 鳥を仕留めたティアラは可愛らしい顔でなーん、と鳴いた。

 母がパンを薄く切ってトースターへセットするのを眺めながら、ステラはミルクを飲んでいた。以前だったらここに妹もいたはずな亜鉛 サプリ おすすめのに、今はいない。
(理不尽よね)
 ステラは思う。今頃ミモザは王都で優雅に暮らしているのだ。
(いじめられたのがわたしだったら良かったのに)
 そうしたらレオンハルトが気にかけるのはステラで、王都にいるのもステラだったはずだ。アベルの行為は最低だが、受けた被害以上のものをミモザは享受しているように思う。
「どうしたの?ステラ」
 ぼんやりしているステラにミレイはマカ訊ねる。それに明るく笑い返してステラは「ううん、なんでもないの。ただちょっと、ミモザがいなくて寂しいなって思って」と返した。
 それに母は同意するように頷いた。
「そうよね、ミモザとこんなに離れるなんてママも初めてで寂しいわ」
 渡されたトーストにジャムをたっぷりと塗る。ミモザも母も何故かいつも薄く塗りたがるが、ステラには理解できない趣味だった。
 ミモザの身につけていたリボンを思い出す。レオンハルトにもらったと言っていたあのリボン。ステラが聞いた時にはわざとはぐらかして答えなかった。
(教えてくれれば良かったのに)
 そうしたらミモザがレオンハルトに会う時に亜鉛の効果同行できた。そうしたらきっとレオンハルトもステラを気にかけてくれたに違いない。
(ミモザは意地悪だわ)
 でもわたしはお姉ちゃんだから許してあげないとね、とステラは憂鬱にため息をついた。

 彼を見かけたのは偶然だが必然でもあった。秋休みは収穫の手伝いで忙しい。近所付き合いで他所の畑も手伝うため、家が近いアベルと会うのは予想できたことではあった。
「……よぉ」
 アベルは気まずそうに手を挙げる。
「おはよう、アベル」
 それにステラは明るく笑いかけた。彼がほっと息を吐くのがわかる。
 ステラはアベルのことが好きだ。藍色の髪に切長の金色の瞳、彼はこの村で一番格好いい男の子だ。
(けれど、レオンハルト様には劣るわ)
 今思い出しても亜鉛うっとりしてしまう。堀の深い顔立ちに鍛えられた体躯、そして穏やかで洗練された立ち振る舞い。どれを取ってもステラが今まで見てきた人達の中で、彼に敵う人はいなかった。
 アベルは「その、ごめんな、嘘ついて」とぼそぼそと告げる。先日のことを言っているのだろう。
 本当はステラは嘘が嫌いだ。自分に嘘をつくだなんて軽んじられているようで不愉快である。しかし今この村で彼はミモザをいじめたことで非常に苦しい立場であった。
(ここで責めるのは可哀想ね)
 可哀想な人には優しくしてあげなくてはならない。だからステラは「いいのよ、反省してくれたんでしょ」と優しく微笑んだ。
 彼はステラの微笑みに見惚れるように頬を染める。その反応に気を良くして「今日はお手伝い?偉いわね」と会話を続ける。
 アベルは頭をかきながら「お前もだろ」と言った。
「ミモザは?」
「あら、知らないの?ミモザは王都よ。レマカ と はオンハルト様と一緒にいるの」
「は?なんで!?」
 アベルが驚きに目を見開く。その驚きにはステラも心の底から同意した。
「びっくりよね。レオンハルト様はアベルがやったことを気にしているみたい。ミモザも気を使って断ればいいのにご厚意に甘えて……。本当にしょうがない子なんだから」
 ため息を吐く。アベルはものすごく複雑な顔をして「兄貴……」と呟いた。
「きっと今頃王都で遊んでるんじゃないかしら?」
 本当に羨ましい。ステラはこんな所で畑仕事をしているというのに。
(早く学校を卒業してわたしも王都に行きたいわ)
 田舎生まれのステラにとって王都は憧れだ。ステラだけじゃない。みんな若者は王都に行きたがる。けれどそれは生半可なことではなかった。王都に行ったはいいものの、夢破れて出戻ってくるなどざらにある話だ。しかしステラには失敗のビジョンなどは見えない。だってステラはすべてにおいて人より生まれつき優れていた。いつだってステラは特別で何かを諦めたことなどなかった。だからきっと多少の時間はかかるがステラは王都に行くし、レオンハルトはステラに振り向いてくれるはずだ亜鉛 サプリ
 アベルはとても苦しそうに「ミモザにも、悪かったと思ってるよ」と言った。
「あれから母さんとたくさん話し合って、隣町のカウンセラーの先生のところにも行って話を聞いてもらって、悪かったのは俺だったと思ってる。先生に言われたんだ、俺は物事の受け取り方を間違ってたんだって」
「そう……」
 可哀想に、とステラは思う。アベルは間違ってしまったのか。けれど劣っている人にも優しくしてあげなくては、とステラは考える。
 ミモザもそうだ。あの子は1人じゃ何もできない。何も正しく決められない。だからステラが導いてあげなくてはならない。
(だってあの子はわたしの可愛い妹だもの)
「誰にでも考え方の癖ってのがあって、皆違うらしいんだ。俺はそれが悪い方悪い方に受け取る癖があって、でもそれはものすごく異常ってわけじゃなくて誰にでも起こりうることだって。人に迷惑をかけない、自分を苦しめない考え方に少しずつずらしていければいいんだって」
「そうなの」
 ステラは慈悲深く微笑んだ。
「頑張ってるのね、アベル」
「……っ!ああ!そうなんだ!」
 アベルは意気込んだ。
「俺、俺さ!ダメな奴だけど、間違っちまったけど、でも頑張るからさ!頑張って、お前に相応しい男になるからさ!」
 そこでぐっと押し黙る。ステラは黙って続きを待った。
「応援、してくれるか」
マカ サプリもちろんよ、アベル。頑張って」
 アベルは顔を喜色に染めると「おう!」とガッツポーズを決めた。

 休憩のための水筒とお弁当をミレイは木陰へと並べていた。遠くでステラとアベルが話しているのが見える。アベルに対して複雑な気持ちはあるが、それを問答無用で咎めるような馬鹿な真似はしたくなかった。
「おやミレイさん、精が出るねぇ」
 今収穫をしている畑の持ち主の老人が話しかけてきた。ミレイは「いえいえ」と微笑む。彼はミレイが先ほどまで見ていた方向を見て「ステラちゃんとアベル君かい」と納得したように頷いた。
「大変だったみたいだねぇ」
「ええ……」
「でもあんまり責めちゃいけないよ。まだあの子は子どもだ。それに変に関わって周りに妙な噂をたてられるのも嫌だろう」
「まぁ」
 彼が心配して言ってくれているのはわかるがミレイの顔は曇った。田舎の村だ。すぐに噂は巡る。アベルだけでなくきっとミモザも色々と言われているのだろうと思うと悔しくてならない。
「まぁ、また同じようなことがないようにワシも見とくからね。あまり気負わんようにね。そういえばミモザちゃんはどうしたんだい?」
「ミモザは王都に行ってるんですよ。親切な方の家に下宿させてもらってお勉強をしに行ってるんです」
 老人の質問にミレイは極力曖昧に答える。彼は「それはいい」と頷いた。
「ミモザちゃんも今はこの村に居づらいだろう。息抜きするとええ」
 ミレイは警戒した自ゴーヤ チャンプルー分を少し恥じる。彼は本当に他意なく純粋にミレイ達を心配してくれているだけだったらしい。
「でもじゃあ、手伝いが今年は少なくて大変じゃないかい?」
「まぁでも、ミモザも遊びに行っているわけじゃないですから」
 ミレイは苦笑する。
「下宿先でお仕事もしているみたいで、この間お金を送ってきてくれたんですよ。迷惑かけてるからって。そんなことしなくていいのに」
「いい子だねぇ。ミレイさんが優しいお母さんだからミモザちゃんもステラちゃんもいい子に育ったんだねぇ」
「そんな……、ありがとうございます」
 ミレイは泣きそうになって俯いた。ミモザのいじめに気づかなかった自分がそんなことを言われていいはずもないが、とても嬉しい言葉だった。
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 その後は仕ゴーヤ

 その後は仕事の話になり、ミモザはレオンハルトとアズレンの会話を聞くのみであった。話題ポリ ペプチドdhaはやはり野良精霊の異常増殖と狂化の件がのぼったが、現在は小康状態であり以前の同時多発などは起きていないが継続はしていること、原因は相変わらず不明であること、そして人為的に引き起こされていることは状況証拠マカ と は的にほぼ確定であることがやり取りの中で明かされた。
 最後に「では期待しているぞ!我が国の最強の精霊騎士よ!!」というアズレンの激励を受けて挨拶は終わった。
 そうしてマッスル王子との面会をなんとか無事に終えたレオンハルトとミモザだったが、その2人の間には今、
「……えっと、お食事でもお待ちしましょうか?」
「いやいい」
 微妙な空気が流れていた。
ゴーヤ 原因は明白だ。
(好みのタイプ聞かれてとっさにレオン様の名前出しちゃったからなぁ)
 ミモザはぼんやりと斜め上方を見やる。シャンデリアが眩しい。
 レオンハルトの性格的に、あのような場であのような名前の出され方はきっと不愉快だったことだろう。王子の発言からするともしかしたらミモザがエスメラルダと話している間、彼は不機嫌な表情を浮かべていたのかも知れない。
(不機嫌な顔の何が面白いのかはわからないけど…)
 謝罪しなければ、と思いつつもどうにもタイミングが掴めず気まずい沈黙が流れていた。いっそdha epa dhaのこと一発殴ってくれたほうが謝りやすいまである。
「ええっと、」
「君は」
 そこでやっとレオンハルトは重い口を開いた。ミモザは開きかけた口を閉ざして彼を見上げる。レオンハルトはミモザのことは見ずに、手にしたグラスを眺めていた。
「先ほどの発言だが」
「す、すみませんでした!」
 思わず土下座する勢いで謝る。
「ええと、とっさに思い浮かんだ男性がですね!レオン様で!つい!」
「……そうか」
 恐る恐る見上げる。彼は非常に微妙そうな顔でこちらを見ると、はぁ、と一つため息をついた。
「君のことだから、そんなことだろうとは思ったよ」
「は、はぁ、えっと、次からは同じようなことを聞かれたら、えっと、別の誰かの名前を……」
「それはやめろ」
 強い口調に身をすくめる。ちらりと彼を見るとそのマカ サプリ目は据わっていた。
「それは、やめなさい」
「……はい」
「俺でいい」
 ふい、とまた顔ごと背けてレオンハルトはグラスを見つめる。
「そういう時に出す名は、俺でいい」
「……わかりました」
 本当はよくわかっていないがわかったふりをしておく。レオンハルトは「それでいい」と頷いたのできっとそれでいいのだろう。またしばらくの間が空き、どうしようかなぁとミモザがもぞもぞ身じろぎをし始めたあたりで、
「あー、君は」
 再び気まずそうにレオンハルトが口を開いた。
「はい?」
「ああいうのが好みなのか?」
「好み?」
 見つめ合う。先に目を逸らしたのはやはりレオンハルトだった。彼ははぁ、とため息を吐く。
「もういい。少し鷹を撃ちに行ってくる」
「鷹?」
「手洗いだ」
「あー……」
 レオンハルトからグラスを受け取りその後ろ姿を見送る。いつもよりその背筋が若干しょんぼりして見えるのはミモザの気のせいだろうか。ふと途中でレオンハルトは何かを思い亜鉛 の サプリついたように足を止め振り返ると「筋肉とか胸とかの餌をぶら下げられてもフラフラついて行くなよ」と念を押した。
「………はい」
 極めて遺憾である。

「ねぇ、あなた」
 レオンハルトがお手洗いに立って少しした頃に彼女は訪れた。
(僕のことを睨んでいた……)
 ピンクブロンドの髪に緑の瞳をした令嬢、アイリーンである。彼女はにっこりと笑顔でミモザに話しかけてきた。
「レオンハルト様からあなたを呼んでくるようにと言われたのだけれど、一緒に来ていただけるかしら?」
(嘘だな)
 とはすぐにわかったが、ここで平民のミモザが伯爵令嬢を無下に扱うわけにもいかないだろう。それに彼女の思惑も気になるところである。
「わかりました」
 ちょっとレオンハルトに言われた「フラフラついて行くなよ」が脳裏をよぎったが、別に餌をぶら下げられたわけじゃないからいいだろうとミモザは1人がてんして、彼女の誘いに応じることに決めた。
クロムの効能ゴーヤdha

 最初に奪われ亜鉛 の サプリ

 最初に奪われたのは髪だった。アントシアニンの効果
 双子ゆえにゴーヤ全くの瓜二つだったミモザとステラを見分けるために髪型を変えてはどうかと最初に言い出したのは一体誰だったか。当時幼かったミモザにはさっぱり思い出せないが、大声で泣き喚いて「絶対に髪を切りたくな亜鉛 サプリ おすすめい」と騒ぐ姉を前に、母が困ったように笑い「ミモザはどう?」と聞かれてただ頷くことしかできなかったことは今でも鮮やかに思い出せる。
 次は色だ。
 可愛いオレンジ色のワンピース。お気に入りだったのにいつの頃からかそれはステラのものということになっていた。双子ゆえに服はいつもシェアだった。髪を切る前まではミモザもピンクや黄色、赤といった明るい色をよく着ていたのクロムの効能にいつの頃からかミモザがその色の服を着ているとそれは奇妙なことだと思われるようになった。「お姉ちゃんの真似をしているの?」と聞かれることやステラにはっきりと「それはわたしのだよ、ミモザはこっち」と黒い服を渡されたこともある。
 その派生で可愛らしい装飾のついたものも奪われた。
 フリルやレースのついたものは当たり前のようにステラにあてがわれた。ミモザに与えられるのはシンプルなものやズボンばかり。いつのまにかミモザはボーイッシュな女の子に仕立て上げられていた。
 その頃にはミモザはもう何も言えなくなってしまっていた。ゴーヤ チャンプルーもともと姉よりも大人しく引っ込み思案な子どもだった。けれど自分も可愛い格好がしたいと勇気を振り絞って訴えても実際に着てみても、微妙な顔で笑われたり「お姉ちゃんの真似」と言われたりするたびに、もはや何もしたくなくなってしまっていた。
 姉に言ってもそれこそ暖簾に腕押しだ。虚しいばかりで得るものは何もない。
 どんどん口が重たくなるミモザに友人達は離れていってしまった。そうしてステラはミモザに言うのだ。
「大丈夫よ、ミモザ。ミモザももっと頑張れば、絶対お姉ちゃんみたいになれるから」
 一体誰がステラみたいになりたいだなんて一度でも言ったというのか。
 周囲も言う。
「いつかミモザもステラみたいに明るく話せるようになれればいいね」
 ミモザはステラになど憧れてはいない。
 きっとその周囲の言葉にミモザ亜鉛 の サプリも笑って「そうだね、いつかステラみたいになりたいな」と返せればよかった。そうすれば周りは納得したのだろう。
 けれどミモザは頷けなかったのだ。

 ミモザは愕然とした。
 それはなけなしの勇気を振り絞って「僕、いじめられてるんだ」と告白したミモザに彼女の美しい双子の姉が「あら、そんな強い言葉を使うものじゃないわ、ミモザ。きっと気のせいよ。大丈夫、お姉ちゃんがちゃんと仲直りさせてあげるからね」などとなんとも天然を通り越した唐変木な返事を返したからーーではない。
(頭がちかちかする)
 豊かなハニーブロンドの髪に青い瞳をした、まるでビスクドールのように美しい少女が目の前にいる。
「ミモザ?」
 学校へと向かう通学路。ミモザが立ち止まったことに姉が怪訝そうに振り返る。
 その姿は一枚の絵画のように美しく、薔薇色に上気した頬は少女らしいあどけなさを宿して愛らしい。
 姉、いやちがう、彼女はステラ。いや、そうだ、ステラは確かにミモザの姉だ。なんでゴーヤ チャンプルーもミモザよりも上手にできる姉。人気者の姉。わがままで気まぐれで、しかしそれすらも魅力的な少女。
(そしてこの世界の主人公)
 心配そうにこちらを覗き込む瞳の中に、目の前の少女と髪型以外は瓜二つのショートカットの少女が映る。
「…それってなんて地獄?」
「え?」
 鏡写しのようにそっくりな2人の少女は立ち止まって見つめ合った。
 1人は怪訝そうに、けれど微笑んで。
 もう1人は絶望に真っ青に顔を染めて。
 それはミモザが自分がこの世界の主人公である姉『ステラ』の引き立て役である『出来の悪い双子の妹』であることを思い出してしまった瞬間であった。

 この世界は女性向けの恋愛要素ありのrpgゲームである。
 いきなり降って湧いた記憶の中でミモザは1人の女だった。年齢も立場もわからない。わかるのは性別とおそらく成人しているであろうという朧げな記憶だけだ。
 それとゲームが大好きでいろいろなゲームに手を出していたということだけ。
 ゲームのタイトルも思い出せない。ストーリーも展開も朧げだが、はっきりとわかることもある。
 このゲームの世界の人間は皆、守護精霊と共に生まれる。自身の分dha epa dha身である守護精霊はなんらかの動物に近い姿を取り、そして自身の生まれ持った性質や精神面の成長によってその姿や能力が変化する仕様である。
 しかしたいていのものは物心がつく年齢にはその姿が定まり、能力も15歳ごろには完全に固定化されていく。
 そして主人公の生まれ故郷であるアゼリア王国では精霊騎士と呼ばれる花形職業があり、主人公はその精霊騎士を目指して奮闘していくのである。
 本来なら精霊騎士になるためには7つの塔の試練を受け、王都で開かれる大会に出場しそこで精霊騎士としてのランクとともに資格を授けられるのだが、もちろん、このゲームの世界でなんの面白みもなく試験が進むわけもなく、悪役の妨害や事件が起こる。
 大きな事件としては野良精霊の暴走が起き、主人公であるステラは恋愛対象であるキャラ達とともにそれを鎮め、神聖であり最強を意味する『聖騎士』の称号を賜ることになる。
 ちなみに主人公の前任の聖騎士も存在するが、物語の終盤あたりで主人公達を庇って死んでしまう。記憶によるとゲームの2周目ではその聖騎士ルートも解放されるという話があるらしいがミモザには全く思い出せなかった。

 がらりと音を立てて教室のドアを開ける。
 クラスのみんなは一瞬ちらりと視線をよこしたが、それがミモザであるのを確認するとすぐに視線を戻しそれぞれの会話へと戻った。
 シカトである。
 ミモザははぁ、と半眼でため息をゴーヤつくとのろのろと教室の自分の席へと着く。

 ーーそして『ミモザ』は小さな妨害であり、主人公に付きまといその試練をことごとく邪魔して回るという嫌がらせキャラであり、主人公の優秀さを際立たせるためにことごとく試練に失敗するという当て馬キャラでもあった。

 机の引き出しを開くと真っ赤なペンか何かで悪口が書かれた紙切れと刃物、ガラスの破片がバラバラと出てきた。
 ちらり、とショートカットの割には長めの前髪に隠して視線を周囲に走らせる。
(……あいつだな)
 気づいていないふりをしながらもミモザの引き出しから落ちたゴミを見てにやにやと笑う奴がいた。
 このクラスのガキ大将でありイジメの主犯、アベルである。
 短い藍色の髪に切長の目をしたなかなかに整った容貌をした少年は、なんとステラの恋愛候補キャラのうちの1人でありゲームのスタート時の15歳にはちょっと生意気だが共に精霊騎士を目指す幼馴染として善良ぶって登場したりする。
 ゲームの中のミモザは闇堕ちをしていてステラや幼馴染達に執拗に嫌がらせを繰り返していた。
 ミモザはぎゅっと握り拳を作る。
 そうして天を降り仰いだ。
(いや、そりゃそうだろ!)
 拳を机に叩きつけたい衝動をぐっと堪える。
 ゲームをしていただけの前世のミモザにはその理由がわからなかったが、『ミモザ』として約12年間生きてきた今の彼女にはその理由がものすごくよくわかる。
 悪質ないじめ、優秀な姉と比較されて貶される日々、おまけに善良だが無神経な姉になけなしの勇気をもって助けを求めて返ってきた言葉が「き亜鉛の効果っと気のせいよ」である。「仲直りさせてあげる」である!
 いやこれは気のせいじゃねぇよ、と目の前に積み上げられた罵声の書かれたゴミと危険物を前にほとほと呆れる。
 仲違いしてんじゃねぇんだよ、一方的に暴行を受けてんだよ、こっちは。
 欲しいのは仲直りではなく謝罪と今後一切の不可侵条約である。
 ぐぎぎぎぎ、とミモザは主人公そっくりの愛らしい顔を歪めて歯軋りをした。
 俯いているため長い前髪に隠されて見えないがその形相はさながら悪鬼そのものである。
 その勢いで人も呪い殺せそうだ。
 しかしその勢いでアベルに怒鳴りつけるなどという行為は彼女には到底できないのであった。
 前世ともいうべき記憶を思い出したものの、どうやらミモザの人格はミモザのままだ。多少自身を客観視できているような気もするが、それでも与えられた恨みつらみはそのままであり性格はまごうことなき小心者のままである。
 何もやり返すことのできない自分に歯噛みしつつ、ふと机の上に目を向けるとそこには白い鼠の姿をしたミモザの守護精霊、チロがその気持ちに同意するようにうんうんと頷いていた。
「チロ……っ」
(心の友よっ!)
 ミモザは歓喜した。そうだ、自分にはチロがいるのだ。決して1人ではない。
 例え相手が自分の分身というか半身であろうが1人ではないのだ。
 1人ではないと思い込めば1人ではないのだ。
「チィー!」
 チロが鳴く。
 その目は紅く不気味に輝き『この教室にいる奴ら全員ぶっ殺してやろうぜ!』と言っていた。
「いやダメだろ!」
 思わず真っ青になって立ち上がる。途端にクラス中の人の視線がミモザに突き刺さった。
「……ひっ」
 気分はさながら蛇に睨まれた蛙である。顔どころが全身から血の気を引かせて周囲にある机や椅子にぶつかりひっかかりながらも、なんとかほうほうのてアントシアニンの効果いでミモザは教室から逃げ出した。
 もはや授業などどうでも良かった。

 悲報、自らの半身がすでに闇堕ちしてるっぽい。
 この世界では闇堕ちした場合にはある外見的特徴が現れる。
 一つは体から滲み出る魔力のオーラ。通常白く輝くはずのこれに黒い塵のようなものが混ざる。
 そしてもう一つが紅く輝く瞳である。
 この世界には紅い瞳の生物は存在しない。
 そう、闇堕ちーー狂化と呼ばれる現象を起こした生物以外には。
 さて、では改めてミモザの守護精霊であるチロを確認してみよう。
 白く輝く毛並みに大きな耳。きゅるりとした本来なら可愛らしいはずの瞳は紅く輝き爛々と光っていた。小柄な体からはどす黒い塵のようなオーラが煌々と放たれている。
「チチィー」
 鳴く声はどすがきいていていつもよりすごみがあった。
『なぜあいつらに報復しないのか?』その瞳はそう不思議そうに問いかけてきていた。
「………」
 ミモザが閉口していると、ふいにめきょめきょと音を立てて『彼女』の背中が盛り上がり、それまでただの毛であった部分が鋭い棘となった。
 その姿はただの鼠から立派な針鼠へと変化している。
 闇堕ちしている、確実に。
(いや、いつから?)
 少なくとも朝家を出た時はいつも通りだったはずだ。
(ということはー…)
 先ほどの前世のものと思しき記憶。それを思い出したことによりチロの闇堕ちが本来より早まったのではないか。
(最悪だ)
 普通こういう記憶を取り戻した場合は良い変化が起こるものなのではないのだろうか。ミモザの主観としてはゲームの設定よりも状況が悪化しているように思えてならない。
 ミモザは両手にチロを乗せると恐る恐る問いかけた。
「チ、チロさん、ちょっと確認なんだけど」
「チチ」
「報復って具体的には」
「チ、」
 チロはニヒルに微笑むとピッとサムズアップをしーー
「チチィ!」
 それを勢いよく下に向けた。
「ダメだぁ!」
 チロの殺意がとどまるところを知らない。
「そんなことしたら僕たマカち破滅しちゃうだろ!」
 ミモザは半泣きで訴える。
 そう、破滅。
 『ミモザ』は物語の中盤であっさりと死ぬ役どころなのだった。
 死因はまったく思い出せないが、きっと主人公に嫌がらせをした関係のあれやこれやに決まっている。
「いいか、チロ。僕たちにはアドバンテージがある」
 言い聞かせるミモザにチロは同意するようにうんうんと頷く。
「まだあの『記憶』の信憑性はわからないけど、すさまじく現状とリンクしていることは確かだ。きっとこのまま何も考えずに進んでいれば、あの未来は起きかねないし僕は闇に呑まれて嫌がらせを繰り返すことになる可能性が高い」
 というか確実にする。
 現にチロは闇に呑まれかけているし、動機だけならことかかない。実際度胸があれば今だってやり返してやりたくてたまらない。
(けどできない!)
 度胸がないからである。
 大事なことだからもう一度。
 度胸がない小心者だからである!
「つまり、今の僕たちがまずすべきこと、それはー」
 ミモザは懐から一冊の本を取り出した。
 そこに書かれたタイトルはずばり『初心者にもできる!呪術入門!』。
「彼らに不幸が訪れるように呪うことだ!」
 その本をまるで救世主かのようにかかげてみせるミモザをチロは白けた目で見た。
 そして針で刺した。
「いった!いたたたたた!痛い!やめて!」
「チゥー」
 野太い声で恫喝するようにチロは告げる。
 ふざけるな、と。
「いや別にふざけてないし僕は本気で、あ、ごめんなさい、痛い!ほんと痛いから!」
 針で刺すだけでは飽き足らず噛みつき始めたチロにミモザは慌てて取り出した本を懐へと戻した。
「……さて、とりあえずどうしようかな!」
 仕切り直しだ。チロが怒るので改めて考え始める。正直先ほどの案がミモザのできる最善策だと思うのだが、それを言うとチロがまた怒ってしまうのが明白なので黙って考えを改める。
「どう、したいかな」
 思案するように呟く。
 これからの行動を考える上で、それがおそらく一番重要だ。
 このままゲームの通りにいけば破滅。けれどじゃあ報復もせずにただ指を咥えて黙って見ているのか。
(いじめっクロムの効能子と妬ましい姉がなんの苦労もなく英雄になっていく様を?)
「僕はこのままは嫌だ」
 チロを見る。彼女も同意するように頷いていた。
 それは嫌だった。
(我ながら、性格が悪い)
 嫌いな人達がより幸せになっていく様を見たくないだなんて。
 その時、ふとゲームの中の一場面を思い出した。それはゲームの中で唯一ミモザが褒められるシーンだ。
『君は精霊との親和性が非常に高いのだね。それは精霊騎士を目指す上ではとても素晴らしい才能だ。大事にするといい』
 姉のステラが聖騎士になる前の前任者、つまり現在の聖騎士である人がミモザのことをそう褒めるのだ。
 のちにこの『精霊との親和性』というのは精霊とのつながりが深いという意味であり、勿論高ければ高いほど精霊騎士としての強さにつながるが、その一方で精霊が狂化してしまった際にその影響を非常に受けやすく、暴走しやすいというブラフだったことが明かされるのだがそれはそれとして。
 ミモザがゲーム内で唯一評価されたのは『精霊騎士としての才能』であったのだ。
 チロとの親和性。それだけは現状の最高峰である聖騎士に認められるほど高いのである。
 その他はコミュニケーション能力も頭脳も他の諸々の何もかもが姉には敵わない。
 チロとの信頼関係、それだけがミモザの財産でよすがだ。
「……奪ってやろうか」
 それが例え一つだけでも。
 友人も恋人も英雄の称号も他の何も奪えなくても。
 精霊騎士としての強さ、それだけは。
「お姉ちゃんより強くなって、面子潰してやろうか」
 一度だけでもいい。いやどうせなら、
「聖騎士の立場、もらおうか」
 ミモザのその思い詰めたような仄暗い囁きに、チロは目を紅色にギラギラと光らせ一声鳴いた。
 それは紛れもない同意の声だった。
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