「奇妙な事件が起きています」
そう重々しく告亜鉛の効果げたのゴーヤ チャンプルーはオルタンシア教皇聖下だった。彼は執務机に肘をおき、ふぅ、と疲れたように息を吐く。
その場にはオルタンシアを除くと4人の人間がそろっていた。
ミモザとレオンハルト、そして教会騎士団団長のガブリエル。
サプリメント マカ そして最後の1人は渦中の人であるジーンの師匠、フレイヤである。
彼女はわずかに怒りを滲ませた瞳でオルタンシアの言葉を聞いていた。その目は吊り上がり己の感情を体の内に必死に押し留めているのであろうことが窺える。怒りが彼女の生来の美しさをさらに苛烈なものにしていた。
「もうお聞きおよびかとは思いますが、改めて簡単に説明を。一言で言えば精神汚染が起きているようでクロムす」
ここ最近、人格が入れ替わったように変わるという異変が立て続けに起こっていた。穏やかだったのに気性が激しくなったり、逆に精力的な人だったのが無気力になったりという具合にだ。けれどその件の特筆すべきはある共通点である。
「ある人間に異常に傾倒、あるいは恋慕するようになるとのことです」
それも、今まで見向きもしなかったような相手に対してそのようになることが多いという。さらに詳しく言えばこれまでに振った相手や自身のストーカーなど、今まで一方的に思いを寄せてきていた相手に何故か一転して執着するようになるらしい。
「ポリ ペプチドこれは、あれですね」
ガブリエルは真面目腐った顔で頷く。
「あれでしょうねぇ」
オルタンシアは困り果てたように頷いた。
「あれですか」
フレイヤは不愉快そうだ。
「あれか」
レオンハルトは呆れたようにため息をついた。
「あれってなんですか?」
唯一わからなかったミモザが挙手した。
みんなが一斉にそんなミモザを見る。
(いや、常識のように言われても……)
わからないものはわからないし、知らないものは知らないのである。
「これがジェネレーションギャッ、」
「ミモザ」
レオンハルトにデコピンを喰らわせられてミモザは口を閉ざした。
むぅ、とうなるミモザをスルーして、オルタンシアは「実は最近密売事件も起きてまして……」と言葉を続ける。
「どうやらとある薬を売り捌いている怪しげな人物が出没するのだそうです」マカ
「とある薬?」
再び懲りずに声を上げるミモザに、オルタンシアは淡々と机の上に小さな袋をひょいと置いた。
透明な袋に入ったそれは、
「……飴?」
にしか見えなかった。赤やピンク、オレンジに黄色といった可愛らしい色合いのハートの形をした飴である。
(あれ、これどこかで……)
思い出そうとするミモザの思考を遮って
「名付けて、ラブドロップだそうです」
オルタンシアが答えをくれた。
その名称にミモザは思い出す。これはーー
(好感度上昇アイテムだ)
ゲームの中では攻略対象者の好感度を上げるために会話の選択肢やデート、そしてそのキャラの好きな貢ぎ物をあげるという方法があるのだが、その中で怪しい商人から買えるチートアイテムがある。
それがラブドロップ。その名の通り好感度を爆上げするアイテムである。
お値段はそれなりに張るのだが、それだけあって効果はてきめんである。他の要素を進めるために好感度を上げるのを怠っていたプレイヤーはよく使用するアイテムだ。
(……ってことは、つまり)
無マカ と は理矢理薬で好感度を上げられたことによる精神汚染事件が起きているということである。
「ネーミングセンス最悪っすね」
「馬鹿がつけたんだろう」
ガブリエルとレオンハルトが容赦なくその名前をこき下ろした。
「私が決めたわけではなく、そういう商品名のようでしてね」
オルタンシアは気まずげにごほん、と咳払いをすると「まぁ、古くは『恋の妙薬』という名前で取引されていた魔薬です」と説明を付け加えた。
「実際に見たことのある人は少ないでしょうが、名前だけは聞いたことがあるでしょう。大昔に開発されてその危険性から規制の対象となり、今ではその製法を記した本は禁書として王族の管理する車庫に封印された劇薬ですよ」
ミモザははい、と手を挙げる。
「はい、ミモザくん」
オルタンシアが指名した。
「その書庫に入れる人の仕業でしょうか?」
それにオルタンシアは首を横に振る。
「少し考えづらいですね。王室書庫の、しかも禁書庫に入れるのは王族に連なる方々でも一部の方と、それから教会の代表者として私だけです。王族の方々がこのような事件を起こすメリットがありません。もちろん私も同様、手間がかかるだけでなんのメリットもあポリ ペプチドりません」
確かになぁ、とミモザは思う。第一、一番に疑われる羽目になるのにそれを堂々とばら撒くとも考えにくい。
「おそらくですが、大昔はその製法が広く普及していましたから、こっそりとそれを伝えていた方がいたのでしょう。はぁ、まったく、頭の痛い話です」
少し考えてからミモザはもう一度挙手した。
「はぁ、どうぞ、ミモザくん」
「副作用はありますか?」
やる気なく指名したオルタンシアはその質問に「おや」と声を上げた。
「とても良い質問ですね。元来魔薬というのは副作用のない薬として開発されたものです」
「じゃあ……」
「ですが」副作用がないのか、と納得しかけたミモザにオルタンシアは告げる。
「よく効く薬というのは毒にもなりえます」
「つまり?」
「つまり、分量を誤れば効きすぎによる弊害が起きます。この薬の場合は常に相手に恋している状態を作り出すわけですから、恋は盲目というでしょう。相手に盲目になりすぎるあまり、依存関係へと陥り最終的には相手以外の全てがどうでもよくなります。具体的に言うと過去流行した時には心中事件が多発しました」
なんと、ヤンデレ量産薬だった。
その時そのやりとりを黙って聞いていたガブリエルがにやにやと口を開いた。
「あれぇ? そんなこと聞くってことはぁ、ミモザちゃんってば飲ませたい相手がいたりしてー」
茶々を入れるガブリエルのことをレオンハルトが睨みつゴーヤける。彼が何か言うよりも先にミモザは「そうですねぇ」と思案するように口を開いた。
「ミモザ?」
師匠の訝しげな声を尻目にミモザは考え考え話す。
「これをうまく使えば痴情のもつれで起きる事件を防げたり、子どもの出生率をコントロールしたり、あと過去の事例で兵士同士が恋に落ちるとすごく強くなるという話を聞いたことがあったのでいいかと思ったんですが……。ちょうどいい用法容量を守っても問題が起きるものなんですか?」
ミモザの言葉を聞いてレオンハルトはあからさまに顔をしかめた。
「……薬で得られる愛情に価値があるのか? 考えるだけで気色が悪いな」
そのまま吐き捨てるように言う。その言い様にミモザはむっと口を尖らせる。
「……レオン様は案外ロマンチストですよね」
「……君は大概情緒の未発達なお子様だ。だからそんなふうに他人事のように平然と理屈をこねられる」
不機嫌そうに言い返された言葉にミモザは驚く。
「レオン様にとっては他人事ではないのですか?」
「…………」
レオンハルトは黙り込んだ。そして微妙な顔をしてミモザのことを見つめる彼の肩を何故だかガブリエルとフレイヤの2人は同情するように両側からぽんと叩いた。
「……まあ、そもそもちょうど良い用法など知ってる人間はいないでしょうね」
その微妙な空気をリセットするようにオルタンシアが口を開く。
「え?」
驚いて振り返るミモザに彼は呆れたように肩をすくめてみせた。
「まさか人体実験するわけにもいかないでしょう」
「あー……」
「それに魔薬は本当に扱いが難しいのです。管理する温度や使用する者の体サプリメント マカ質によって大きく効き目が変わる。コントロールは困難だと思いますよ」
「じゃあ有効活用は無理なんですね」
「そもそもそんな危険な劇薬を有効に使おうとするな」
なんとか気を取り直したレオンハルトが叱責するようにミモザの額に再びデコピンを食らわす。その威力に「ううっ」とうめいていると、それを白けた目で眺めながらオルタンシアが告げた。
「まぁ、有効活用できるくらいなら規制して封印したりしませんよね」
ごもっともだなぁ、とミモザは頷いた。
。サプリメント マカマカ と はdha epaアントシアニンの効果
第4の塔の中身はdha epa dha
第4の塔の中身は見渡す限りの草原だった。ところどころに沼地があるものの遮蔽物が何もなゴーヤいだだっ広い空間の真ん中で、彼らは身を寄せ合って座っていた亜鉛。それぞれめいめいに『試練の塔閉鎖!』や『これ以上の犠牲者を増やすな!』と書かれた看板やのぼりを手に掲げている。
(どうしたものか)
その集団の中にあって、マシューは頭を悩ませていた。このような事態はまるっきり彼の想定にはなかったから亜鉛 サプリ おすすめだ。
彼の若草色の髪が風に流れる。深い森のような緑の瞳は冷静に周囲を見回した。そばかすと丸顔のせいで若く見られるがマシューは15歳の成人済みの青年である。この中では若造の部類に入るが事情もよくわからず連れてこられた子ども達よりは大人だ。こうなってしまった以上、マシューには子ども達を守る責任がある。
「塔の開放はんたーい!安全のために閉鎖しろー!」マカ と は
その時1人の老人が声を張り上げた。何が楽しいのかその顔には満面の笑みを浮かべている。
思わず舌打ちをする。
(あいつさえいなければ……)
あの男、ロランが今回の立てこもりの首謀者だ。マシューは反対したが、先日の失策のせいで聞き入れられなかった。だとしてもこのような強行策をみんなが支持するとは、マシューが思っているよりも改革がうまくいかないフラストレーションが溜まっていたらしい。
マシューの推測ではあの老人はおそらく保護研究会の過激派だ。そうでなければ今回の行動を推し進める説明がつかない。この立て亜鉛の効果こもり行為はあまりにも割が合わなさすぎる。利益を出すためには、そう、例えばここで人が死ねば人々の非難は教会に向くかも知れなかった。彼はマシュー達被害者遺族の会を捨て駒にするつもりなのだ。
(くそっ、どうしたら)
しかし今それを仲間に伝えたところで通じないだろう。そもそもこの作戦の無益さはとうに訴えた後である。マシューには先導者やリーダーとしての才がない。あくまで裏方で策を練るのみで人の上に立つことが難しいのだ。
(だからこそ、彼女に)
ちらり、と人の輪の中心部を見る。そこにはジェーンが背筋を伸ばして座っていた。
(彼女には人を惹きつける力がある)
マシューにはないものだ。マシューはジェーンにリーダーになってマカ サプリ欲しかった。
マシューは自身の守護精霊である白い毛をした子猿、キースを見た。
(いざとなったら俺が盾になる。みんなを生きて返す)
できることならそんな事態は考えたくもなかった。
一体何時間が経っただろう。あらかじめ用意していた水筒の水は尽きてしまった。それまでは何もいなかった草原にはちらほらと馬型の野良精霊の姿が見え始めていた。彼らはまだこちらの様子を伺っているが、襲って来るのは時間の問題だろう。最初は威勢の良かった仲間達も、その数が20を超えたあたりで恐怖のほうが勝ってきてしまっている。
「お、お兄ちゃんっ」
「大丈夫。大丈夫だからな。俺のそばを離れるなよ」
子ども達がしがみついてくるのを抱き返す。
「なーにをびびっとる!これはぁ!我々の家族のため!これ以上の犠牲者を出さないための勇気ある行動である!!」
元気なのはロランだポリ ペプチドけだ。
「おい、大声を出すなっ、下手に刺激をしたら……」
襲って来るぞ、と言い切る前に、馬のいななく声がした。
「き、キース!」
マシューの声に反応してキースは防御形態の盾となりその突進を防ぐ。しかし相手は一頭だけではないのだ。次々と襲いくる野良精霊に、キースは防戦一方だ。
「み、みんな!早く!今のうちに避難を!!もういいだろう!」
「で、でも……」
迷うように、けれど挑むこともできずに立ちすくむ仲間に、マシューは怒鳴る。
「もう充分に抗議の姿勢は見せた!これで俺たちが本気だと教会にも国にも伝わっただろう!成果はあげた!撤退だ!」
その必死の叫びにはっとした顔になり移動を始めたところで、
「ならぬ!!」
ロランが立ち塞がった。白髪を振り乱し、手には槍を持っている。
「我らが同胞よ!まさか臆病風に吹かれて逃げる気ではあるまいな!そんなことでどうする!家族は!大切な家族を二度も見捨てる気か!!」
その一喝に立ちすくむ。ロランはここから先は一歩も通さんという態度で仁王立ちをしていた。
「……っ!逃げろ!」
アントシアニンその時キースの盾をすり抜けた1匹がジェーンの下へと向かった。彼女は驚いたように身を引き、しかしそれ以上は動けずに、
「ジェーンさん!」
「これは大いなる一歩である!!」
マシューの叫びとロランの高笑が重なった。
ーーと、がこん、と妙な鈍い音がした。
呆然と見つめるマシューの目の前で、その馬の首は跳ね飛ばされた。
血飛沫が舞う。そんな悪夢のような光景の中で、場違いに美しい少女が立っていた。
「どうやら間に合ったみたいですね」
涼やかな声がする。金色の髪が風になびき、その深海のような瞳がマシューのことを見た。
「すみません、遅くなりました」
まるで待ち合わせに遅れた報告のように、呼ばれていないはずの彼女はそう言った。
そこで初めてマシューは彼女の持つ巨大なメイスが馬の首をへし折ったのだと理解した。
。サプリメント マカマカ と は亜鉛 の サプリ
(どうして、わたしdha epa
(どうして、わたしが……)
詰め所から出てステラは悲しげに目を伏せた。
対クロムの効能応した騎士からは厳重注意を受けて帰されたのだ。ステラクロムの効能がどんなにその必要性を説明しても彼は聞く耳も持たなかった。
「君ねぇ、君のしようとしたことの重大さをわかっているのかい? 違法採取は窃盗罪というれっきとした犯罪だよ。特に塔の中の薬草は国をあげて保護している貴重なものだ。君はまだ若いし悪気があるわけじゃなさそうだしdha未遂だったから注意で済ましてあげてるけどね、本当にやってたら刑務所行きだよ。止めてくれた妹さんに感謝しなさい」
あろうことか心無いことを言ったミモザの方が正しいなどと言う。彼は不満そうにするステラに呆れた顔をすると、「それとね」とステラから没収した荷物の中から巾着袋を取り出して机に置いた。
「それ……」
「これね、君、密猟もしてるよね」
「密猟だなんて……」
言い募ろうとするステラをゴーヤ無視して彼は袋の口を開けて中身をひっくり返すようにして机に出した。じゃらじゃらと音を立てて大量の魔導石が机の上に広がる。
「指定された数を超えての狩猟行為は立派な密猟だよ。記録にないから今回が初犯だね? まぁ、初回はやはり厳重注意で解放することにはなってるけど記録には残るから。これから君の行為は常にマークされていると思いなさい」
「そんな、これには理由が……」
「理由?」
彼は眉をひそめる。
「君の妄言は聞き飽きたよ。あのねぇ、世界は君を中心に回ってるわけじゃないの! 今はまだ若くて可愛いからそこまで痛々しさはないけどさ、もう15歳だろ? 成人マカ サプリしてるんだからそろそろ現実見ないと! これに懲りたらもうこういうことはしないようにね! 次は牢屋に入ることになるからね!」
ステラの言葉を遮って彼はそう言うと会話を終わらせた。ステラに書類のサインを促し、書いたのを見届けてステラのことを部屋から追い出すと「はい、じゃあ2度目はないからね! 帰っていいよ!」と言い捨ててせかせかと立ち去ってしまう。
他にどうすることも出来ず、ステラはすごすごと出てきたところだ。
「ステラ……っ!」
ひと足先に釈放されていたのだろう。アベルがステラに気づいて駆け寄ってきた。その見慣れた姿にステラはほっと息をつく。
「アベル、大丈夫だった?」
「俺はまぁ、状況を確認されただけだから」
アベルはなぜか言いづらそうにもごもごと話した。
確かにアゴーヤベルはあの時見ているだけだった。けれど全ての会話を見て聞いていたのだ。きっとステラのことを擁護してくれたことだろう。
「あの人、全然わたしの話を聞いてくれなかったの。額面だけ見てわたしのことを悪いって決めつけて……。失礼しちゃうわ」
そこまで言ってステラはアベルの反応を待ったが、予想に反してアベルはなんの相槌も打ってくれなかった。見ると彼は硬い表情をして押し黙っている。
「アベル?」
「ステラ、犯罪行為はダメだ」
諭すように、説得するように丁寧にアベルは話す。
「どんな理由があっても違法な行為が咎められるのは当然のことだ。咎められることを覚悟した上で、それでもどうしてもそうしなければならないと言うのなら俺にはそれを止められない。けどそうじゃないなら、咎めるみんなが悪いと思ってるなら、それは間違いだ、ステラ」
「アベル……」
ステラは目を細めた。
「やっぱり、貴方もミモザの味方なの?」
「違うって言ってるだろ!!」
反射的マカ サプリに怒鳴った後で、彼はそれを悔いるように黙り込む。ややして苦しげに拳を振り上げ、けれどそれでどこかを叩くこともできずに力無く手をおろした。
「どうしてそうなるっ。俺は、俺はっ! お前のためを思って……っ。ステラ、お前はすごいよ、優秀だ。けどだからといって何をしてもいいわけじゃない。それにそろそろ気づいてくれ……っ」
「……わたしが間違ってるって言うの?」
アベルはのろのろと力無く顔をあげた。そうして疲れ果てた様子で、けれど何かを決心したようにゆっくりと首肯した。
「そうだ」
噛みしめるように、振り絞るような声で言う。
「お前は、間違っている」
ステラは何も答えなかった。
。dha epa dha亜鉛亜鉛 サプリ おすすめ
「精霊との親和ゴーヤ
「精霊との親和性が高いということはどういうことかわかるか?」
故郷のマカ と は森で、昼食のサンドイッチを頬張りながらレオンハアントシアニンの効果ルトは聞いてきた。
ミモザもその隣に座ってサンドイッチを食べながら首をひねる。
「精霊との親和性が高いとその分意思の伝達がスムーズになる。つまり、技を出す速度が速く、そしてコントロールが緻密にできる」
dha epa ミモザが何かを答えるよりも早く正解は示された。彼はこういうところがある。少しせっかちなのだ。
「ーーとはいえ、速度などコンマ数秒の差だがな、しかしそのコンマ数秒の差が勝負の世界では命運をわける」
「つまりそれが僕の強みですか?」
そうだ、と彼は頷く。
「メイスというのは本来、致命的な弱点があるんだがそれが何かわかるか」
「うーん、重い?ってことですか?」
「そうだな、重くてでかゴーヤい。だから攻撃が大振りになって軌道が読みやすく、一撃は重たいが攻撃した際に隙ができる。だから攻撃を避けられてしまうとその隙を突かれる」
そこでレオンハルトは一度言葉を切ると、射抜くように鋭い視線でミモザを見た。
「しかし君のメイスは違う」
息を呑む。今、レオンハルトはミモザのことを弟子としてではなく対等に戦う相手として分析しているのだとわかった。重苦しい敵意がミモザの全身を突き刺す。
「棘があるだろう。ただでさえ親和性の高さゆえに早いのに、その上0から生み出しているわけではないからさらに予備動作dhaなしで棘がつき出てくる。振りかぶったり振り下ろしたり、本来なら隙になる動作をしていてもその姿勢から変幻自在に棘を伸ばして攻撃できる。つまり君の武器は近接戦闘においては最強レベルだ。下手をすれば、俺でも負ける可能性がある」
その時のレオンハルトはミモザを仮想敵としてどう相手取るのがいいかを考えていたのだろう。聖騎士になるということは彼を倒すということでもあるのだとミモザはその時初めて実感を伴って理解した。
この目の前の最強の騎士の恐ろしさを。
ーーつまり、どういうことかというとミモザは、
近づけなければ勝てないのである。
(やべぇ)
ミモザは冷や汗をかいていた。
正直舐めていたのだ。ステラには一度卒業試合で勝っていた。だから今回もうまくやれば勝てるだろクロムうと思っていた。
(甘かった)
ちっ、と舌打ちをする。ミモザの足元には白銀の氷が無数に広がり、徐々にその機動力は削がれていっていた。
前回の試合、あれでおそらくステラは学んだのだ。ミモザに距離を詰めさせてはいけないと。そしてしっかりと対策をとってきた。
「……くっ」
光線銃が放たれる。避けるミモザの足元を目掛けて氷の破片が突き刺さった。それから逃げようと更に足を踏み出すが、地面が氷に覆われていて足の踏み場がないことに気づき、ミモザはメイスでその氷を破壊してすんでのところで回避する。
そうこうしている隙にステラの光線銃のチャージが完了してしまう。涼しい顔をして立つ彼女の周囲にはストックの氷の破片が次々と補充されつつあった。
これである。
彼女の底なしの魔力から次々と補充されていく魔法攻撃のストックが減らないのだ。これにより間髪入れない攻撃が続き、防戦一方のミモdha epaザは接近することができない。
それだけなら持久戦で相手の魔力が尽きるのを待つという手がミモザには使えるが、故意か偶然か、彼女はそれを封じるように足場を凍らせてミモザの逃げる場所と体力をじわじわと削り取ってきていた。
逃げる場所がなくなるか、氷に足を取られればミモザの負けである。
(どうしよう?)
また光線銃が飛んでくる。ミモザはそれをかろうじて避ける。その足元に再び氷が突き刺さる。
「くっそ……っ」
棘を伸ばして攻撃を仕掛けてみるが軽いステップでそれは簡単に避けられた。やはりミモザの攻撃は遠距離では効果を発揮できない。
一応ミモザにも一般的に誰にでも使える衝撃波を放つという遠距離攻撃はある。しかし魔法の撃ち合いになればMPが先に尽きるのはミモザである。正直ステラ相手では勝ち目がない。
では一度後方に下がって遮蔽物を利用して背後から近づき不意打ってはどうか、と考えて周囲を見渡すが、周りには岩が点在するのみで岩と岩の間を移動する姿が見られてしまうため、不意打ちは困難そうだ。
防御形態であれば攻撃を防ぐことだけはできる。しかし防御形態はポリ ペプチド強力ではあるが止まった状態でしか使えないという欠点があり、これも接近する手段には使えない。
(なら……っ)
ミモザはチロを防御形態へと変える。ミモザの前方に攻撃を防ぐように棘の突き出した半球状の盾が現れた。
「あら?もう降参?」
それを見てステラはふふっと花のように笑う。その青い瞳が喜びに輝く。
「いいのよ、ミモザ。貴方はわたしよりも弱いんだから」
ステラがミモザを断罪するようにレイピアを突き出して見せる。氷の破片が狙いを定めるように前方へとぐっと寄った。
「強がらなくて、いいのよ」
言葉と共に、光線銃が放たれた。
「……ぐっ」
ミモザの盾はなんとかその攻撃を耐え忍んだ。そしてステラが次に氷の破片を放つその前の一瞬の隙に、
ミモザは防御形態のまま、その棘を伸ばした。
「………っ!?」
ステラはそれを避ける。しかし動揺したのか本来ならミモザ目掛けて放たれるはずの氷の破片は明後日の方向へと飛んでいった。
それを待っていた。
正直防御形態での棘の伸縮など普通の攻撃よりも射程範囲が狭く貫通力もない、ただの一発芸みたいなものだ。しかしその一発芸でステラは今、光線銃も氷の破片もストックがない状態へと陥っていた。
「うおおおおっ!」
雄叫びを上げてミモザはステラへと突進する。ステラが魔法を生成する亜鉛 の サプリ前、その前に近づければミモザの勝ちだ。
(間に合え……っ)
あと数歩でステラにメイスが届く、そのタイミングで、
「……っ、くそっ!!」
ミモザはメイスで氷の破片を弾いた。次々と氷の破片がステラを守るように囲み、ミモザの元へと飛来する。ミモザはそれを弾きながら後退するが、
「………っ!」
(しまったっ!)
間に合わなかった。その動揺が足に出た。ステラがそこら中に張り巡らしていた氷の残滓に足を取られてミモザはよろめく。
それを見逃すステラではない。
「行け!」
ステラの鋭い声とともに、氷の破片がミモザへと目掛けて発射された。
「ーーーっ!」
ミモザは体勢を崩しながらも致命傷だけは避けようとメイスを前に突き出した。氷の破片が突き出したミモザの手に当たるかと思われた次の瞬間、
「………え?」
目の前に土の壁ができていた。
ミモザの隠れた魔法属性が危機に反応して目覚めたーー、わけがない。
「もういいでしょう」
その爽やかな青年の声はミモザの背後から響いた。
「単なる兄弟喧嘩なら放っておきますが、犯罪行為の隠蔽を暴力によって強要する行為は見逃せません」
整えられた黒髪が風に揺れる。真っ直ぐな黒い瞳ははっきりと非難の意味を込めてステラのことを見据えていた。
ジーンである。
彼は手にした剣を構えながら尻もちをついたミモザを庇うように前へと歩み出た。
「ミモザさんは確かに金髪美少女らしからず、品性の欠片もないことを言うしやるし奇行に走りますが、けれど道理に反したことは致しません」
ジーdha epa dhaンはその剣の切先を敵意を示すようにステラへと向ける。
「貴方も同じく金髪美少女らしからぬ方のようですが、ミモザさんの方がよっぽどましです」
「…………」
ミモザはいろいろと言いたいことはあったが、空気を読んで黙っていることにした。
。ゴーヤ チャンプルーゴーヤマカ サプリ
「試練の塔マカ サプリ
「試練の塔被害者遺族の会?」
その単語にミモザは首をひねった。
「ええ、聞い亜鉛たことない?」
「えアントシアニンの効果っと、確か、言葉の通り試練の塔でご家族をなくした方々の集いですよね?」
新聞などで見たことのあるなけなしの知識をなんとか引っ張り出すポリ ペプチド。それにレオンハルトは顔をしかめた。
「言葉の通りではない」
「え?」
「被害者などは存在しない。試練の塔への挑戦は本人の意思であり自己責任だ。挑んだ結果命を落としたとしても彼らは決して被害者などではない。自身の力を試し未来を切り開くために挑んだ者をしくじったからと言って『被害者』などと呼ぶのは彼らに対する冒涜だ」
「けどまぁ、残されたご家族としてはそれじゃあ納得できなクロムいのよねぇ」
フレイヤは困ったようなポーズを取った。
「彼らはこれ以上犠牲者を出さないために試練の塔は閉鎖するべきだと主張しているの。国としては優秀な精霊騎士を輩出する機関として試練の塔の運用は必要だと考えているし、国民達もそこにいる聖騎士様の人気のおかげでその意見に賛同する人はまずいない。保護研究会を除いてね」
「ええと…」
新たに追加された名前にミモザは戸惑う。そんな弟子のていたらくにレオンハルトは盛大なため息をついた。
「保護研究会は試練の塔の保存を目的としている集団だ。学術的な観点での保存をしたい人間や単純に女神のアントシアニン作った物を踏み荒らす行為は認められないと言う人間などが所属している組織だ。まぁ、こっちは過激派以外は放っておいて構わない」
「過激派」
「主張を通すためにテロを行う奴もいる」
なんともぞっとしない話だ。
「どうして放っておいてもいいんですか?」
テロ行為を行わないにしても試練の塔に人が入らないようにしたいと思っている団体なのだ。ミモザには騎士団とは敵対しているように思える。
「影響力が少ないからだ。だいたいの人間にとって彼らの主張はメリットがないし関わりのない主張だ。つまり共感できない」
確かに研究のために保護したいとか、信仰上の理由で保護したいと言われてもいまいちピンとこない。なんというか極端なことを言うものだと思ってしまう。
「けど被害者遺族の会亜鉛 サプリ おすすめは厄介なのよ」
「厄介?」
フレイヤは頷いた。
「ご身内が亡くなられたから他の被害者が出ないように立ち入りを禁止したいって言われたら、大抵の人は反論が難しいんじゃないかしら?」
「まぁ、要するに心情に訴えてくるんだな。同情する人間も多い」
ガブリエルが続きを引き取った。フレイヤはそれが不愉快なのかガブリエルを睨む。
なるほど、とミモザは頷いた。確かにそれは厄介だ。
「彼らの主張はあまりにも極端過ぎる。試練に挑んだ者が亡くなったから試練の塔を封鎖するというのは、自らの意志で騎士になった者が殉職したからといって騎士団そのものを廃止しようと言うのと変わらない。こちらだって無駄死にさせたいわけじゃない。だから試練の塔にはセーフティとして年齢制限やレベルの制限を設けて資格のないものは入れないように規制しているんだ」
憤懣やるかたないといった様子でレオンハルトは話す。
「そもそも試練の塔は国防に携わる人間の育成に貢献して亜鉛 サプリいる。そのおかげで才能のある人間が貴賤を問わず出世できるシステムが実現しているんだ。それに観光資源にもなっているし塔への入場料を利用して保全や管理を行っている。塔への出入りを禁止すれば莫大な資金源の喪失と経済活動の停滞、失業者と収入格差を生むことになる」
それこそ貧困状態から試練の塔を利用し聖騎士まで登りつめた実例の男はそこまで言って嘆息した。
彼がここまで饒舌なのは珍しい。
「百害あって一利なしってことですか」
「その通りだ」
「でも理屈じゃなく感情でそれが受け入れられないのもまた人間ってね」
ガブリエルは手をひらひらと振る。
「で?そんな今更な話をしにきたわけじゃないんだろ?」
「もちろん」
フレイヤは懐から紙を取り出した。
「最近彼らの勢いがすごいのは知ってると思うんだけどこういうコラムがこれから出る予定でね」
彼女達はオルタンシア、ガブリエル、レオンハルトそれぞれにその紙を渡した。3人ともその内容に目を通して難しい顔を作る。
「これは……」
「知り合いの記者に写しをもらったの。これが世に出るのは明後日」
「差し止めは、難しいだろうなぁ」
「ええ、書いた本人が希望するマカならともかく、わたくし達には無理でしょう」
ミモザがレオンハルトの袖をちょいちょいと引くと彼はその紙を見せてくれた。
そこに書かれた内容は1人の娘を失った母親の悲痛な叫びだ。その文章はとても洗練されていて感情が伝わりやすく、ミモザですら読んでいて涙が滲み出そうだった。
「勢いが加速するかも知れないわ」
フレイヤは言った。
「ただの杞憂ならば良いのだけど、念のため対応を統一しておきたいのよ。手元にあるのはこれだけなんだけど、連続企画のようなのよね。これの仕掛け人はとても教養があって裕福な方みたい。やり方によっては嵐が起こせるわ」
「なるほど、お話はよくわかりました」
オルタンシアは細い目をさらに細めて頷いた。
「正直できることは微々たることですが、彼らの心情を思うとこれ以上傷ついて欲しくはありません。誠意ある対応をしていきましょう」
この言葉を意訳するならば「被害者遺族の会を刺激しないように、うまいことうやむやにできる対応を考えましょう」と言ったところだろうか。
フレイヤは「さすがはオルタンシア様、話が早くて助かります」とにっこり笑った。
ミモザにとっては苦痛な小難しい話が終わりぐったりと部屋から回廊へと出る。
(疲れた……)
ミモザは会議に参加せず話を聞いていただけだがそれでも精神力がごりごりと削られるやりとりであった。
dhaさっさと立ち去るレオンハルトの背についていこうと足を踏み出したところで
「ミモザさん」
呼び止められて振り向く。声の主は爽やか少年ことジーンであった。
彼はミモザの不思議そうな視線ににっこりと笑うことで答える。
「今日はありがとうございました。貴方のような美しい方に出会えてとても貴重な時間を過ごすことができました」
「はぁ……」
彼が一体何を言いたいかがわからずミモザは戸惑う。それに彼は苦笑した。
「まいったなぁ、慣れないことはするもんじゃないですね。一応これ、口説いてるんですけど」
うん?のミモザは首をひねる。『口説く』という単語の意味がミモザの中で急に行方不明になった。彼は少し困ったように頭をかく。
「そうですね、貴方にはこう言った方がいいかな。また今度時間があるときにでも、よければ手合わせを」
「……えーと、嫌です」
視線を泳がせてミモザなんとかそれだけを返す。非常に気まずい沈黙がその場に落ちた。
「な、なんでですか?」
「ええと、たぶん僕、勝てないので」
「やって見ないとわからないじゃないですか!」
「うーん、だって、手合わせって試合ってことですよね」
ミモザは考え考え言葉を話す。
「え、は、はぁ」
彼は戸惑っている。ミモザは困ったように続けた。
「殺し合いじゃないと、勝機がないです」
「………」
「どーいう教育してんだ、お前」
2人の会話に見かねたガブリエルがレオンハルトをこづく。それにレオンハルトは鼻を鳴らした。
「非常に適切な教育をしているとも」
そdhaのまま褒めるようにミモザの頭を撫でる。
「勝ち目のない戦はするなと教えている」
「試合は勝てねえのに殺し合いは勝てるって?」
「少しでも勝率を上げるのに有効なのは相手を自分の得意な土俵に引き摺り込むことだ。公正なルールのある試合では、それは難しいと判断したんだろう。とても適切な判断だ」
「ねぇ貴方、やっぱりわたくしの弟子にならない?この際この男以外ならそこにいるおじさんでもいいと思うの」
「えーと」
真剣な表情で親身に諭されて、ミモザは我が身の境遇がそんなにヤバいのかとちょっと悩んだ。
。亜鉛 の サプリdha epa亜鉛 の サプリ亜鉛 の サプリ
第4の塔は移動亜鉛 サプリ おすすめ
第4の塔は移動スキルの手に入る塔である。移動の魔法陣をあらかじめ敷いた場所に瞬マカ間移動できるという祝福が手に入るのだ。
ステラは今、そ亜鉛 サプリ おすすめの第4の塔に1人で訪れていた。
今日はアベルは別行動で、この間入りそびれた第3の塔に向かっている。ステラは彼と一緒に行動する気になれず、第3の塔を飛ばして第4の塔に来たのだった。塔の順番は難易度順になっているため数亜鉛 の サプリ字通りに攻略するのが本来なら望ましいが、別に順番通りでなくてはならないという規則は存在しない。人混みを嫌ってめちゃくちゃな順番で攻略する人は稀にだがいないわけではない。まぁ、そういう人間はおおむね自分の実力を過信していることが多いので、塔の中で行方不明になったり遺体として帰ってくることも多かった。
ステラの右手の甲に、まばゆい光と共に三つ目の金のdha花弁が収まった。ステラにとっては塔の攻略で命を落とすなど想像もつかないことだ。だってほら、こんなにも順調だ。ステラにとっては塔の攻略などなんの困難もない。
(それなのに……)
それ以外がうまくいかなかった。いや、うまくいかなくなった、の方が正しい。思えば最初のつまづきはレオンハルトに弟子入りを断られたところから始まっていたのかも知れない、とステラは思う。
(どうして……)
ステラは視線を落とす。変わったのはステラではない、妹のミモザだ。ゴーヤ
ステラは何も変わらない。村にいた時も王都に来てからも。それなのにここ最近は目に見えてステラの周囲の環境は狂い始めていた。
(ミモザのせい……?)
思えばレオンハルトもジーンもアベルも、ミモザが関わった人間がステラに対して冷たくなっている。
ミモザが何かしたのだろうか?
(けど、一体何を……?)
魔導石の件でも今回の薬草の件でも卒業試合でも、ミモザはステラのことを目の敵にしているようだ。嫌がらせとも言えるような行為に走り、そしてそれは功を奏しているように見える。
ジーンに「狂っている」と言われた時、ステラは思わず頭に血が上ってしまった。今にして思えば失礼な言葉ではあるがそこまで逆上するようなことではマカないようにも思える。しかしあの時、ステラはジーンがまさかそのようなステラを貶めるようなことを言うはずがないと確信していたのだ。
だからこそ、あるはずがないことが起こったからこそ頭に血が上ってしまったのだった。他にも色々と『起きるはずがないこと』が起き始めていた。それら全てを引き起こしているのがミモザだとしたら。
(でもおかしいわ、ミモザのやることにそこまでの影響力なんてないはずなのに……)
「………?」
そこまで考えて、ステラは自分の思考に首を傾げた。
どうしてそう思うのだろう。
起きるはずがない、ミモザにはそんなことができるはずがないと、どうしてそう確信しているのだろう?
ずきり、と頭が痛んで思わず手を当てて立ち止まる。
「大丈夫ですか?」
「……ええ、ごめんなさい、ちょっと立ちくらみがしただけなの」
かけられた声にそう答えて振り返ると、彼は何故か驚愕の表情を浮かべていた。亜鉛
(何……?)
「み、ミモザ……?」
「え?」
驚くステラに彼は慌てたように両手を振る。
「あー、いやごめん、人違いみたいだ。あんまりにもそっくりなもんだから」
彼は若草色の髪を困ったようにかきあげ、その深い緑色の瞳を細めて笑った。ただでさえそばかすが彼を年齢よりも幼く見せているのに、笑うとさらに子どものように無邪気な印象を受ける。
「俺はマシュー。君の名前を聞いても?」
「わたしはステラよ。えっと、あなたは……」
ステラは首を傾げた。金色の髪がさらりと流れる。
「ミモザのお友達かしら?」
彼はまた驚いたように目を見張ると「友達というほど仲良くはないかな」と首を振った。
「君は?」
「わたしはミモザの双子の姉よ」
「なるほど、通りで」
うんうんと彼は頷く。
「まぁ、中身が似ていないことを祈るよ。俺は優しい人間が好きだからね」
「まぁ」
その言い草にステラはくすりと笑った。
彼は、試練の塔被害者遺族の会のメンバーなのだと言った。
ステラでも聞いたことがある。確か数年前に立てこもり事件を起こした人達だ。
「現行の塔の管理クロムの効能はまだずさんなところがある。死傷者を少しでも減らすためにどんな仕組みがいいかを実際に塔の内部を見て回りながら考えていたんだ」
「素敵だわ」
ステラの相槌にマシューは照れくさそうに頬をかいた。それにステラはにっこりと微笑む。
ステラにとっては久しぶりに感じるような、穏やかな時間が流れていた。
「今はまだ色々と難しいことも多いけど、少しずつでも変えていければと思ってるんだ。教会との折り合いは難しい問題だけど」
「そうね」
確か立てこもり事件は彼ら被害者遺族の会の意見を軽視する教会側への抗議として行われたと聞いている。その後和解の記事が流れたが、結局管理体制の見直しが行われたという話は出ていない。
そこでステラは良いことを思いついて両手を合わせた。
「そうだわ! ねぇ、マシュー。わたしね、聖騎士を目指して頑張っているのよ」
「それはすごいね」
夢物語を語る子どもをあやすようなマシューの言葉にステラは頬を膨らませる。
「もう、本気にしていないわね。これでもわたし、とっても強いのよ。だからね、マシュー」
にこっ、と花が咲くようにステラは笑いかけた。
「わたしが聖騎士になったら、あなたのお願いを聞いてあげられるわ。わたしが塔の管理体制を変えてあげる!」
きポリ ペプチドっとマシューが喜ぶだろうと思って言った言葉に、しかし彼は
「…………」
顔を両手で覆って悶絶していた。
「……マシュー?」
「昔の夢みがちな自分見てるみたいでキッツイな……」
「え?」
「いや、なんでもないよ。えっと、そうだな。気持ちだけはありがたく受け取っとくよ」
へらり、と彼は誤魔化すように笑った。
「……? そう……」
わからないながらもステラは頷くしかない。
しばらく2人で塔の中をぶらぶらと歩き、そろそろ出入り口が近づいてきたところで、「あれ?」とマシューが声をあげた。
「なぁに?」
「あれ、何してるんだろう?」
指差した方向を見ると、そこにはステラ達よりも幼い男の子達が4人ほど立っていた。
「あっ!」
見ているとそのうちの1人が突き飛ばされて尻もちをつく。それを放って残りの3人は塔から出て行ってしまった。
。アントシアニンゴーヤマカdha
「…………」 亜鉛 の サプリ
「…………」
恥ずかしくて顔を上げられない。ミモザは真ゴーヤっ赤な顔をして俯いていた。
「弟子……?」
レオンハルトは怪訝そうだ。
(そゴーヤりゃそうだ)
そりゃあそうだ、内心でうんうんと頷く。チロも武器形態のままだが冷たい視線を向けてきているのがわかる。
「えーーっと、」
「……悪いがそういうのは募集していないんだ。すまないね」
にっこりマカと微笑んで頭を撫でられる。その視線は生温い。完全に子ども扱いされていた。
(いや、子どもなんだけど!)
子どもだが、そうじゃないのだ、真剣なのだ。
「そうじゃなくって、えっと、僕は真剣でっ」
「うんうんそうか。まぁ、憧れてくれるのは嬉しいよ。ありがとう」
それは完全に大人がわがままを言う子どもを優しく窘める図だ。
何かのお手本のよう亜鉛 の サプリだ。
「ち、違います!!」
撫でてくる手を払いのけてミモザは叫ぶ。
「僕は!本気で!強くなりたいんです!!」
「一体何のために?」
急に至極冷静に突っ込まれてミモザは言葉に詰まった。
(何のために……?)
いや理由ははっきりしている。周りを見返すため、ひいては姉から聖騎士の座を奪うためだ。
しかしそうはっきりとレオンハルトに言うことははばかられた。
まさか「貴方の弟にいじめられていたから見返してやりたい」とか、「貴方の今いる地位に将来姉がなる予定だから奪ってやりたい」とは言うわけにはいdha epa dhaかない。というかそんなことを言おうものなら下手をしたら殺される。
(殺される!?)
先ほど対峙していた時の恐怖が蘇ってきてびびる。もしかしなくともミモザはとんでもない人間を呼び止めてしまっていた。
そのまま素直に帰ってもらえばよかったのだ。機嫌のいい肉食獣に機嫌がいいからといってミモザのような草食動物が話しかけてはいけなかった。
「どうした?」
脂汗をだらだらと流したまま固まってしまったミモザを、腕を組んで見下ろしてレオンハルトは不思議そうだ。
それはレオンハルトからすれば親切心で言葉に詰まった子どもが話し出すのを待ってあげているだけの図だったが、ミモザには悪鬼が頭上から威圧を放って見下ろしているようにしか思えなかった。
なんかオーラがずっとどす黒亜鉛 の サプリいままだし。
「あ、あの、理由……、理由、は……」
その時のミモザの脳内は珍しく高速で働いていた。なんとかして相手の怒りを買わない当たり障りのない理由を探そうと思考は回転し、反転し、そして脱線した。
これまでの出来事が走馬灯のように駆け巡る。泣いて抱きしめてくれる母親、机の中のゴミ、力を得るための儀式、髪を切られたこと、そして姉がこれから得るはずの栄光の記憶ーー、
聖騎士レオンハルトが姉達をかばって死ぬ光景。
「……貴方を、助けたいからです!」
教訓、慣れないことはするなかれ。
普段思考のとろい人間が無理して急いで結論を出そうとすると大事故が起きる。
「……ほぅ?」
レオンハルトの目が剣呑に細められるのをミモザは涙目で見守った。
「俺の記憶が確かなら、俺はこの国最強の精霊騎士のつもりだったのだが……、その俺を君が助けてくれると?何から?」
そう言う顔は綺麗に笑っているが瞳は雄弁だ。
なめてん亜鉛 サプリのかこのクソガキ、そう告げていた。
「ち、違います!そういう意味じゃなくて!そのですね!」
ぐるぐると元々空転気味だった思考回路がさらに空転し出す。
「す、好きなんです!貴方のことが!!」
「は?」
「だから貴方のことをお助けしたいんです!!」
「………」
(何言ってるんだ、僕……っ!)
黙り込むレオンハルトに、またそりゃそうだと内心でミモザは頷く。
だってミモザだって自分が何を言っているのかわからない。
支離滅裂なことを叫ぶミモザに、しかしレオンハルトは冷静に「つまり、俺に好意があるから手伝いをしたいという意味の『助けたい』ということか?」と内容を推測して要約してくれた。
彼は確かに大人なのだろう。
ミモザの記憶ではレオンハルトはミモザ達のたった5歳年上なだけの、つまり現在17歳であるはずなのだが、その精神年齢は実年齢よりも遥かに大人びているように思えた。
そのレオンハルトの要約が合っているのかどうかは横に置いて、困っているミモザは「そ、そうです!」と全力でその推測に乗っかることにした。
だって貴方3年マカ サプリ後に死ぬ予定なんですなんて言えないし。
彼はそのミモザの返答に心底不思議そうに首を傾げる。
「君とは今日初めて会ったばかりだったと思ったが?」
「あ、会ったばかりですけど!」
そこでミモザはやっと一拍呼吸を置いた。自身を落ち着かせるように深呼吸を繰り返す。
この質問に対しては、嘘や誤魔化しは必要なかった。
ゆっくりとレオンハルトの左右違う色の目に視線を合わせると、力が抜けたように微笑んだ。
「貴方は僕のことを唯一認めてくださいました。才能があると言ってくれた」
「それだけのことで?」
「それだけのことが、喉から手が出るくらい欲しかったのです」
そう、たったそれだけのことだ。しかしたったそれだけのことがミモザを奮い立たせ、立ち上がる気にさせた。
数日前も。そして今も。
「それだけでこれから先、僕は生きていけます。好意を抱くのには充分過ぎるほどです」
これまでとは一転して自信を持ってそう告げるミモザに思うところがあったのだろう。レオンハルトはわずかに考え込んだ。
「俺は人に教えるのに向かない人間だ。最悪ただ君を叩きのめすだけの指導になってしまうかも知れないぞ」
「かまいません。貴方のサンドバッグにでも雑巾にでもしてください。そこから勝手に僕が学びます。貴方は僕の人生の恩人です。恩は返します。必ずお役に立って見せます」
dha epa だから、
「貴方のそばに置いてください」
そらされない目線の強さと意志に、レオンハルトはどこか眩しげに目を細めた。
「……いいだろう。しかし俺は忙しい。基本的には課題を出して時々様子を観にくる程度になるだろう」
「充分です!」
「ではこれを」
レオンハルトは懐からメモ帳とペンを取り出すと何事かを書き込んでそれをミモザに渡した。
ミモザはどきどきと胸を高鳴らせてその紙を開く。
ここに、精霊騎士として強くなるための極意が書かれている。
かくしてその中身はーー、筋トレのメニューだった。
「……えっと」
「まずは体を鍛えなさい。話はそこからだ」
告げられる言葉は淡々としており、重々しい。
「はい」
ミモザはとりあえずわからないながらも頷いた。長いものには巻かれるタイプの人間だからである。
「いい返事だ」
レオンハルトは満足そうに頷いた。
。ポリ ペプチド亜鉛 サプリサプリメント マカマカ と は
「んーー…」 亜鉛 サプリ
「んーー…」
メモ帳を片亜鉛 サプリ手に首を傾げdhaるミモザの足元には、おびただしい量の野良精霊の遺体が散乱していた。
あれから数刻ほどの時間が経過していた。その間延々と野良精霊を狩り続け、ミモザはある程度チアントシアニンの効果ロの扱い方を習得しつつあった。
とはいえそれはゲームの中の『ミモザ』が使っていた技術をなんとかおさらいし終えた、という程度のものでしかないが。
記憶の中で把握した技術を書き出したメモ帳に、実際に行えたものはチェックをつけていく。
達成率は50%といったところだ。
「まぁ、初日だしこんなものか」
メモ帳を閉じ、手とチロについた血を振り払う。ふと思いついて亜鉛 サプリ おすすめかがむと野良精霊の遺体に手を伸ばした。
その白魚のような細い指先で遺体を容赦なく探ると、ミモザはそこから白い結晶を取り出した。
「お小遣い稼ぎ程度にはなるかな」
それは魔導石である。
ゲームでも野良精霊を倒すとドロップし、売ることでお金稼ぎができるシステムだった。
そう、魔導石の正体は精霊の核である。今市場に出回っている物はこうして野良精霊を狩って手に入れた物や、もしくは墓を建てるという文化すらなかった太古の時代にあちらこちらに埋められたり遺棄されていたdha epa dhaのであろう守護精霊の物を発掘した物であった。
「皮肉な話だなぁ」
悪質であると禁じられている守護精霊を切り捨てるという行為。しかしこれにより野良精霊が発生し今は貴重なエネルギー源となっている。生活を便利にするためにあらゆる場所で魔導石が用いられている現在において消費される量はすさまじく、『過去の遺産』は確実にいずれ枯渇するだろう。今生きている人の守護精霊も死ねば魔導石として利用されることになるとはいえ、毎日の人が死ぬ量よりも魔導石の消費のほうが上回っている以上それは避けられない現実であった。それでも国と教会が守護精霊の切り捨てを禁じるのはその捨てられた精霊の種類によってどのような生態系の変化、あるいは突然変異が生まれるかが予測できないからだ。しかし野良精霊をアントシアニンの効果エネルギー量確保のために養殖するという考えは宗教的、倫理的観念から現状では難しい。
結局のところ、今いる野良精霊達を絶滅させず、人に危害が加えられない程度の数に抑えながら自然環境の中で保存し適宜必要量を採取するという、いうなれば放し飼いでの養殖のような形で今は落ち着いている。
この森の中は法律上野良精霊を狩って良いエリアである。特例はあるが一般的に一人が一日に狩っても良い野良精霊の数は20匹まで。
ミモザが今狩ったのは16匹。全く問題ない範囲である。
遺体の中からきっちり16個の魔導石を回収し、ミモザは立ち上がった。
日は少しづつ傾き、西の空が赤色に染まり始めている。
さて、暗くなる前に帰ろうとしたところで、
「それは、狂化しているのかい?」
そこで初めてミモザは人に見られていたことに気がついた。
。亜鉛 サプリゴーヤアントシアニンの効果
天高く掲亜鉛 の サプリ
天高く掲げられたレイピアが振り下ろされる。
(まずいゴーヤ……っ)
ミモ亜鉛 サプリザはとっさに防御形態を構えた。間一髪、そのレイピアから放たれた光の帯がチロの盾へとぶつかり爆ぜる。
「ぐ……っ!」
その攻撃の重さにうめく。彼女の最強の魔法、光線銃(レーザービーム)だ。
この魔法は主人公であるステラの必殺技であり、MPのクロムの効能消費量と溜め時間の長さによって威力の上がる技である。ゲーム中の戦闘場面で使うものは威力が少なかったが、ボス戦などのイベントでとどめを刺すモーションの際のアニメーションで使用される時の威力はとんでもなかった。だいたいは仲間の男性勢がステラが溜める時間を稼ぎ、技を放つ、といったパターンだ。それはそれは巨大な精霊の胴体に風穴を開けるぐらいとんでもなかった。普通dha epaにミモザが食らったら死ぬし卒業試合なんかで出していいものではない。
(う、撃ちやがった……)
ミモザが防げなかったらどうしていたのだろう。きっと今頃スプラッタな光景が校庭には広がっていたはずだ。まぁそれを言ったら卒業試合そのものが物騒極まりないが、しかし使われる技の多くは寸止めが可能であるかあたっても死なない程度のものに配慮されている。
ちらり、とミモザが審判の教師を見ると彼はちょっと顔を引き攣らせて引いていた。引くくらいならば止めて欲しい、切実に。
正直、王都の御前試合ならともかく、今回の試合では出てこないと思っていた技だ。
(これは早々に片をつけないとダメだ)
じアントシアニンの効果ゃないと死んでしまう、ミモザが。
「すごいわミモザ。簡単に防げてしまうのね」
周囲に花を飛ばして無邪気に笑う姉に、ミモザはぞぞっと身を震わせた。ミモザがうっかり死んでしまっても「あら死んじゃったわ、ごめんなさい」で済まされてしまいそうな恐怖を感じる。
(さすがにそんなことはない……、よね?)
チロはそんなことあるだろボケェ、とメイスの姿のまま身を震わせてミモザに訴えてきた。
ふぅ、と自分を落ち着かせるように息を吐く。そしてその深い湖面のような瞳で、ミモザは冷静にステラのことを見据えた。
ミモザに勝機があるとすれば、それは一つだけだ。
それはーー、
「筋肉こそ!最強!!」
気合いと共に一気に距離をつめる。氷の破片が襲ってくるが、それを避けることはせず、全てメイスで叩き壊した。長距離戦では勝ゴーヤち目がない。勝つためにはなんとか近距離戦に持ち込まねばならない。ステラもミモザの狙いを悟ったのか氷を放ちながら距離を取ろうと動くが、遅い。ミモザはずっと鍛えてきたのだ。
筋トレを欠かさず行ってきた。走り込みだって毎日続けている。そして戦闘経験ならば圧倒的に積んでいる。その分の筋力が、速度が、判断力が、ミモザにはある。
ミモザはそのまま懐へと飛び込むと、メイスでレイピアを殴りつけた。ただでさえ重量級の武器である。遠心力で勢いがついているし、なによりも、
「筋トレの成果を見よ!」
ステラよりもミモザのほうがマッチョである。
ステラが防御形態を展開しようとするが、もう遅い。
ミモザはステラのレイピアを殴り飛ばした。
「……いっ!」
「筋肉の、勝ちだーっ!!」
レイピアが空を飛ぶ。姿勢を崩し、動揺してそれを目で追うステラの喉元にミモザはメイスを突きつけた。
「…………っ」
「しょ、勝者、ミモザ……」
審判の声は半信半疑だった。誰もがステラが勝つと思っていたの亜鉛 サプリだ。まさか落ちこぼれで不登校なミモザが、優等生のステラに勝つだなんて誰が想像しただろうか。
「お姉ちゃん」
はぁはぁと息を整えながら、いまだに呆然と吹き飛ばされたレイピアを眺めるステラをミモザは呼ぶ。
彼女は信じられないという表情で、ゆっくりとミモザを見上げた。
「僕の、勝ちだよ」
じわじわと、笑みが口元に浮かぶ。口にした途端、勝ったのだと実感した。
「僕はアベルを許さない。だからお姉ちゃんはそのことに今後一切、よけいな口を挟まないで」
青空を背に、満面の笑顔を浮かべる。それは先ほどまでステラが浮かべていたひまわりのように無邪気な笑顔とは違う。
邪気を孕んだ、けれど棘を身に纏う薔薇のように、あでやかな笑みだった。
ミモザは優勝した。
全校生徒が並ぶ中を、優勝トロフィーを受け取るために悠々と歩く。
並んでいる中にはアベルはもちろん、他にもミモザをいじめてくれた奴らや無視していたクラスメイト達が整列していた。
それを横目で見つつ、ふん、と鼻を鳴らす。
壇上にたどり着くと校長が微妙な顔をして木製の小さな優勝トロフィーを持って待っていた。さもありなん。不登校児が優勝するなど前代未聞だろう。
「えー、では、優勝トロフィ亜鉛 サプリ おすすめーを授与する。ミモザ君」
ごほん、と咳払いして校長はトロフィーを差し出した。
「優勝おめでとう」
「ありがとうございます」
ミモザは綺麗に礼をして優勝トロフィーをー…、受け取らなかった。
「辞退させていただきます」
「……は?」
にっこりと、惚ける校長に微笑みかける。生徒や教員も含め、周囲が騒つくのがわかった。
「僕はこの学校に少ししか通っていません。そんな人間にこのトロフィーはふさわしくないでしょう」
ミモザの発言にますます喧騒が広がる。
「あ、あー、ミモザ君、そのようなことは……」
「ですのでこのトロフィーは、繰り上げで準優勝のアベルに譲りたいと思います」
どよめきの声が上がった。
(そりゃあそうだ)
ふふふ、とミモザはほくそ笑む。
ミモザとアベルの事件については皆知っている。その被害者が加害者にトロフィーを譲ろうというのだ。ミモザは戸惑う校長からトロフィーと、ついでに卒業証書ももぎ取ると、そのままスタスタと壇上を降りてアベルの元まで行った。
「ミモザ……」
「あげる」
なかなか受け取ろうとしないアベルに苛立ち、そのままトロフィーを無理矢理押し付ける。
ふん、と鼻を鳴らす。格下と侮っていた相手に勝ちを譲られるというのは一体どんな気分だろうか。
決勝で戦ったアベルのていたらくといったらなかった。直前の会話に動揺したのか、あるいはステラが負けたことがシ亜鉛 の サプリョックだったのか、その両方か、アベルはろくに実力も出せずに敗北した。まぁミモザは今までの恨みを込めて遠慮なくぼこぼこに殴らせてもらったのだが。
アベルはその瞳に戸惑いを浮かべたままトロフィーを持ち、「ミモザ、その……、これは……」としどろもどろに何事かを話している。
その態度をミモザは、どうやら更生は順調に進んでいるのだな、とつまらない気持ちで眺めた。レオンハルトが非常に残念そうに伝えてくれたので疑ってはいなかったが、実際に見るとなるほど、しらけるものだ。
どんなに真っ当になろうが善良になろうが、ミモザにとってクズはクズのままだ。行った行動はなくならないし今後の行動で帳消しになどなりはしない。しかしクズはクズらしくしてくれていた方が報復しやすいのは確かだった。下手に更生されてしまうと今度はこちらが加害者になりかねない。
(グレーなラインで攻めるしかないかぁ)
どうやって報復してやろうかと考えていた内容を頭の中で整理する。とりあえず物理的に殴り返すというのは済んだ。あとはもう、まともになってしまったのならばまともなりに、罪悪感を一生感じて苦しんでもらうのが1番だろう。
あれほど恐ろしかったアベルが、急に小者に見えた。なんだか馬鹿馬鹿しくなってミモザはアベルにぐいっと顔を近づける。
「み、ミモザ……っ」
「この学校の人達の評価なんて、僕は欲しくないの」
「……っ」
「偉そうにトロフィーなんて渡されたくないし、認めてもらいたくもない。加害者からは何一つ受け取りたくない。気持ちが悪いから」
アベルにだけ聞こえる声でそう囁いて、そのショックを受けて青ざめゴーヤた顔に満足する。
「だから、あげる」
そう言って無言で立ちすくむアベルを放ってミモザは校門に向かって歩き出した。
呼び止める声はあったような気もしたが幸い大きな声ではなかったので気づかないふりをした。もう二度くることもないだろうな、と大した感慨もなくミモザは学校を後にした。
「ミモザ」
学校から出て家に向かっている途中、ふいに声をかけられる。一体どこからと周囲を見渡すと「こっちだ」と再び声がした。
「えっ、うわっ」
ばさり、と大きな音を立ててそれはミモザの目の前に降り立った。それはレーヴェだ。
黄金の翼獅子はその背に主人を乗せて空から舞い降りてきたのだ。
彼は当たり前のような顔で守護精霊から降りるとミモザの前へと立った。
長い藍色の髪がさらりと流れ、黄金の瞳が笑みを作る。
「レオン様、どうしてここに……」
「今日が卒業試合だと言っていただろう」
平然と、彼はそれが当たり前かのように言った。
「どうだった? ミモザ」
「…………っ」
ミモザの胸がじんわりと熱を帯びた。多忙な彼が、わざわざ会いに来たのだ。今日が卒業試合だというだけの理由で。
「勝ちました」
ミモザは笑う。少し気恥ずかしさも感じながら、それでは言葉が足りなかったかと付け足す。
「優勝しました」
「そうか」
「でもあいつらが嫌いだったので、蹴っ飛ばして来ちゃいました」
他の誰かに言えば、きっと咎められる行為だろう。大人げないだとか、試合とこれまでのことは関係ないだろうとか、きっと諭されるに違いない。
(けど、レオン様なら)
ミモザには確信があった。彼ならきっと、一緒に笑ってくれるに違いない。
果たして彼は、
「そうか」
もう一度そう頷くと、意地悪そうに口の端を上げてにやりと笑った。
「さすがは俺の弟子だ。よくやクロムった」
「はい!」
ミモザは満面の笑みで頷く。努力が報われた? それだけじゃない。ミモザと気持ちを共有してくれる人がいる。そのことがただただ嬉しい。
(きっと大丈夫だ。これからのこともきっとなんとかできる)
だって、ミモザは卒業試合で初戦敗退どころか優勝し、ステラに負けるという運命に打ち勝ったのだ。
(レオン様がいてくだされば……)
これからのゲームで起きる出来事もきっと変えられる。そう信じることが今のミモザには可能だった。
。クロムの効能クロムゴーヤ チャンプルー亜鉛 の サプリ
頭上ではマカ サプリ
頭上ではきらびやかなシャンデリアが揺れていた。クリスタル亜鉛 サプリdha epa dhaと金細工でできたそれは、一つで平民の生涯年収を超えてしまいそうな品だ。灯りを反射して周囲を華やかに彩るその下では、人々のいろいろな思惑が交錯していた。
本日はこのアゼリア王国の第一王子のマカ と は婚約お披露目パーティーである。ここは王城のホールで様々な階級の人間が招かれている。本来ならばこういった場に招かれるのは上流階級の人間だけだ。そして実際にそういった人間がほとんどではあったが、中には学者や王子が個人的に親しくしている人なら平民であっても招かれていた。
これは第一王子の意向である。
現国王は病床に伏して久しい。意思の疎通はできるものの、その病態から執務のほとんポリ ペプチドどは何年も前から第一王子が代行していた。もはや彼が王だと言われても誰も否定はしないだろう。
その第一王子アズレン・アルタイル・アゼリアは実力至上主義者である。
その慧眼により能力のある者を次々と登用し、それにより国の発展と安定に寄与してきた。巷では賢君と名高い。そのため今回のパーティーもその意向が色濃く反映されているのだ。
しかしそれだけでは外聞が悪い。平民の『えこひいき』は要らぬ反感を買ってしまう。古くからの貴族の機嫌を損ねるのはいただけないのだ。そのため上流階級とプマカ と はラスして王子の気に入っている人々、という闇鍋のようなパーティーが開催される運びとなったのだった。
さて、そんな闇鍋の中、目立っている2人の人物がいた。それは2人の伯爵令嬢であった。
1人はアイリーン伯爵令嬢。美しいピンクブロンドの巻き髪にエメラルドの瞳をした非常に愛らしい女性である。彼女は有数の商家を営む家柄で、その裕福さを示すように下品になりすぎない程度だがその髪飾りやネックレス、ドレスに使われる飾りまで、どれも上質な宝石で彩られていた。
もう1人はセレーナ伯爵令嬢。艶やかな黒髪にキリリとした吊り目のオレンジの瞳をした麗人である。彼女は貴族の令嬢にも関わらず精霊騎士の称号を持つ才媛だ。シンプルながらも彼女のそのすらりとしたdha epaシルエットを優美に見せるドレスと控えめな宝飾品が美しかった。
そんな2人はある一つのものを巡って対立していることで有名である。
それはーー、
「ああら、アイリーン様、本日もとても可愛らしいドレスですこと」
にっこりと微笑んで口火を切ったのはセレーナだ。
「ごきげんよう、セレーナ様。あなたもとても素敵なドレスだわ。あなたのスタイルによく似合ってらっしゃって」
アイリーンも微笑みを返す。ただドレスを褒めるだけの会話だが、両者の間にははっきりと火花が散っていた。カーン、とどこかでゴングが鳴る音の幻聴がする。
「とてもお若く見える装いだわ。確か最近の流行のものだったかしら。パニエがしっかり膨らんでいるから対比で腰が細く見えていいわね」
そういいながらセレーナは扇子で自らの腰の曲線をなぞって見せる。近くにいた人々は思わずそのラインを目で追った。
「ありがとうございます。セレーナ様亜鉛の効果はとてもシンプルで大人っぽい装いですわね。わたくしはそういうドレスは似合わなくって……」
そういいながらアイリーンは腕を寄せて見せる。彼女の豊満な胸がむにっと押しつぶされて強調され、それまでセレーナの腰を見ていた人々の目がそちらに移った。
あまり胸の豊満でないセレーナはじとりとした目をし、多少ぽっちゃり気味の体型のアイリーンはセレーナの腰付近を親の仇のように睨んだ。
「レオンハルト様はきっとご自分と並んだ時に身長の釣り合いのとれる女性がお好きでしょうね?」
「ええー、騎士様はきっと可愛らしくて愛嬌のある女性がお好きだと思うわ。だってたくましい女性はご同僚にたくさんいらっしゃるはずでしょ?」
「仕事の内容に無理解な妻なんてお呼びではないはずだわ!」
「まるで騎士団に勤めたことがあるような口ぶりですのね!資格を取っただけで働いたことなんてないくせに!」
「何よ!」
「そっちこそ何よ!!」
ああ、また始まった。周囲の人間はその光景を見てため息をつく。これはこの2人が同じ場所にそろった際に起きる恒例行事だ。
彼女たちの対立の原因、それは聖騎士レゴーヤ チャンプルーオンハルトの妻の座に一体どちらがおさまるかという争いだった。
「誰があの2人を同時に招待したんだ?」と誰かが尋ねたが、誰も答えなかった。
そんなの第一王子殿下に決まっていたからだ。
その時、新たな来賓の到着を告げる管楽器の音がした。皆が無礼をせずに済むように一人一人到着ごとに音楽隊が鳴らしてくれるのだ。噂をすればとはこのことだろう。皆の注目の中、到着したその人物は渦中の聖騎士レオンハルトであった。
反射で若い令嬢達が上げかけた黄色い歓声は、しかし尻すぼみで終わった。かの人の隣に立つ人物を見たからだ。
その美丈夫な男は今日は軍服ではなく黒い礼服を身にまとっていた。美しい藍色の髪をいつものように黒いビロードのリボンでまとめ、胸元には青い花を飾っている。その長身やよく鍛えられた体躯も相まって、相変わらず令嬢達がため息を溢すような色男っぷりであった。しかし問題はその隣に当たり前のように佇む少女である。
少女である。それだけでも大問題だ。これまで一切の女っけがなく、お見合いも色仕掛けもするりとかわしていた男が女を伴って現れたのだ。
さらに問題なのは、その少女が女神もかくやというほどの美しさだったことだ。
綺麗に短く切り揃えられたハニーブロンドには天使の輪が光っていた。物憂げに伏せられた瞳は深海を思クロムの効能わせる深い青色で雪のような白い肌によく映えている。頬は薄く桃色に色づき、小さな唇もまるで果実のように艶やかだ。
そしてその少女の格好がさらなる大問題だった。その髪にはラピスラズリの髪飾りがつけられ、ドレスはシンプルなものだが足元からまるで夜空のように深い藍色がグラデーションを描く美しいものだった。そしてその首元に光る黄色い宝石のついたリボン。そこには黄金の翼獅子が刺繍され、それはレオンハルトの髪を結えるものと全く同じだった。
その全てが2人が深い仲であることを示していた。
ふとレオンハルトが何か声をかけたのか、少女は扇状に覆われた長いまつ毛を震わせて伏せられていた瞳を上げた。途端に彼女の瞳に明るい感情が宿り、唇が笑みの形に緩む。
その仲睦まじい様子に、思わずホールにいた招待客達は先ほど言い争っていた伯爵令嬢2人を見た。
2人とも悪鬼の形相をしていた。
「ありゃ勝ち目がねぇわ」と誰かが余計なことを口にした。
思いの外響いたその言葉に、2人は悪鬼のまま犯人を探さんと周囲を見回した。みんなは一斉に視線をそらし、見なかったふりをした。
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